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健康幻想が生む、一億総“半健康”時代(2)
「ライフスタイルの改善が病気の1次予防につながる」

2009/03/16
医療コラムニスト 21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒

健康度が低いと染色体にも変化が

 森本さんはさらに次のように語っていた。
「健康度が低いと身体的変化が起こります。なかでも染色体の変化が重要で、染色体異常の量が増えると遺伝性の病気やがんにかかりやすくなります。染色体の変異に悪影響を及ぼす習慣のワーストスリーはタバコ、(深)酒、ストレスです」。

 ライフスタイルとは、私たち一人ひとりの環境の履歴である。たとえば、子どもの頃は清涼飲料水が大好きで、初めてタバコの味を覚えたのは高校生。大学に入学するまでは吸わなかったが就職活動をする頃には一日20本吸うようになり、仕事が面白くなった頃、結婚して郊外のアパートに住み、通勤ラッシュに慣れたころ、地方の転勤を命じられ、糸の切れた凧のように暴飲暴食の毎日が4年間続いた。やがて、東京に舞い戻ったけれど、接待漬けの毎日も手伝って転勤時代の暴飲暴食の生活から抜けきれない。これが環境の履歴である。

 WHOが定義する健康を維持するためには、まず悪しきライフスタイルを改善することである。環境の履歴から喫煙の履歴と病気の発症頻度を抜きだしてみると、これまでに吸った喫煙本数が多ければ多いほど肺がんのリスクは高くなる。これは周知の事実だ。

 だが、喫煙するところがなくなったからといって、20年来の愛煙家が一気に明日から禁煙というのはかなりむずかしい。タバコは肺がんのリスクを高めるが、緑黄色野菜は喫煙によるリスクをある程度相殺してくれる。少しずつ喫煙本数を減らして緑黄色野菜を食べるように心がけければ、ライフスタイルは改善される。

 健康に対する意識を強くもつとはそういうことであり、ライフスタイルの改善が病気の1次予防につながる。加えて病気の芽をつみとるための定期検診を欠かさないことだ。定期検診や人間ドックは病気を予防するためではなく病気を早期発見するためにある。

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