日経メディカルのロゴ画像

健康幻想が生む一億総“半健康”時代(1)
「血圧自動測定器がもたらす不安について」

2009/03/07
医療コラムニスト 21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒

 医学とその周辺を取材して四半世紀以上がたつ。医学ライターではあるけれど、医療消費者でもある私が長い間、医師や患者さんに取材して近年強く感じることの1つは、日本人の健康感についてである。

 社会評論家の大宅壮一氏は、かつて、テレビが急速に普及した1960年代のテレビ文化を揶揄して「一億総白痴化」という言葉をつかった。それにならって、私が「一億総“半健康”時代」と本に書いたの は2001年だった。それから10年近くがたって、日本人の健康感はほとんど変わっていないように思われる。

飲み屋に行っても、喫茶店で友人と話をしても、最初の話題は検査値の話が多い。

「このごろ調子はどう」
「血圧が高くてねえ」
「オレは、血糖値が高いと言われたばかり。お互い気をつけなければ・・・」

 市役所や病院など公共施設に行くと血圧自動測定器が置いてある。丸い筒の中に二の腕を突っ込んでボタンを押すと、自動的にカフの中に空気が入り腕が圧迫され収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)が測定できるようになっている。
置いてあるからなんとなくやってみたくなる。

 やってみると、結果がすぐにわかる。「収縮期血圧147mmHg、拡張期血圧98mmHg」などと印刷された小さな紙がでてくるから、いやでも数字を覚えてしまう。それが高血圧に相当するのかしないのか。日頃のわが身のライフスタイルを考えて「高いに違いない」と思う人もいる。事実、この数字だけを取り上げれば軽症高血圧に分類されるが、時間を置いて測定したら、この値は下がる可能性がある。

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ