日経メディカルのロゴ画像

電子カルテは、なぜ普及しないのか

2009/03/07
医療コラムニスト 21世紀医療フォーラム取材班記者 歌川秀一

(グラフ1)「平成19年度医療情報システムに関する調査」(財)医療情報システム開発センター

莫大な導入費用をだれが負担するか

 オーダリング・システムや医事会計システムに比べ、電子カルテの導入が遅れている原因はどこにあるのだろうか。

(財)医療情報システム開発センターが平成19年度に行った調査によると、電子カルテの「導入の予定なし」とした933施設にその理由を尋ねたところ、4割以上が「導入したいが費用がかかる」を挙げている。(グラフ1)

 電子カルテの初期導入費には、1床あたり最低でも100万円が必要だとされる。その費用の6割はシステム開発費である。業務の流れが病院ごとに違い、さまざまなメーカーの診断機器や検査機器などの部門システムと接続する必要があり、電子カルテは病院ごとのオーダーメイド製品となっている。

 その理由は、電子カルテの導入には、SE(システム・エンジニア)が1年から半年ほど病院に常駐し、ヒアリングを実施して要求仕様書を作成し、システムを構築する必要があり、いわば労働集約型の生産しかできないためである。

中小規模病院向けに、機能をパッケージ化することで1床あたり100万円を切る電子カルテも販売されているが、個々の病院間には、さまざまな地域的、慣習的な差異が存在し、完全にレディ・メイド化するのは難しい。

 また、電子カルテの導入による事務処理効率化といったメリットよりも、紙のカルテから電子カルテへの切換時の診療の混乱や入力作業の手間といったデメリットを指摘する声も少なくない。電子カルテ化したことで、医師が入力作業に手間取って、診療できる患者の数が減れば、それはそのまま病院の収入減につながるからである。

 しかし最大の問題は、導入費用を患者はもちろん国や自治体に請求できないことだ。1000床クラスの大規模病院ならば20~30億円、500床以上の大病院では15~20億円、300~500床の中核病院でも7~10億円もの導入費用をいったいどこから捻出すればよいのか。この問題が解決されない限り、日本では電子カルテの普及が進まないのである。

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ