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電子カルテは、なぜ普及しないのか

2009/03/07
医療コラムニスト 21世紀医療フォーラム取材班記者 歌川秀一

政府計画と現実の大きなズレ

 電子カルテとは、一般的には「医療機関で医師が記録する診療録(カルテ)を、コンピュータを用いて電子的に記録・保存するシステム」のことである。しかし、電子カルテそのものについて明確な定義はなく、実際にはメーカーごとに、さらには病院ごとにそれぞれ機能や規模が異なるシステムが電子カルテと呼ばれている。

 平成13年に厚生労働省が策定した「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」では、電子カルテによって解決すべき医療の課題が4つ挙げられている。

  • 情報提供
    標準化されたデータ形式によるデータの蓄積による情報提供と医療従事者間での情報連携
  • 質の向上
    データの蓄積と連携から生まれた有効なデータ解析による新たな医療や新たなエビデンスの創出
  • 効率化
    電子カルテと物流管理システムや業務道無管理システムなどとの協調による効率化
  • 安全対策
    電子カルテの機能の一部である「オーダエントリー・システム(オーダリング・システム)」によって、手書きによる間違いの防止

 このグランドデザインでは、医療の質の向上と医療機関の経営効率化を実現するために、電子カルテの普及促進が必要であるとして、「2004年度までに全国の二次医療圏の中核的な病院の少なくとも1施設、2006年度までに400床以上の病院及び全診療所のうち6割以上」の成果目標を掲げていた。

しかし、2006年度の400床以上の医療機関における電子カルテの導入は24%にとどまっており、20床以上の病院の導入はわずか6.8%にすぎないという。一方、電子カルテの機能の一部で、検査・処方などに係る情報伝達システムである「オーダリング・システム」の普及率は、400床以上の病院では2005年度に72.9%を達成している。

 また、日本に導入されて30年以上の歴史のある医事会計システムの普及率は20床以上の病院で95%以上、診療所やクリニック(病床数20以下)でも75%以上に達し、全体で80%にのぼっている。2008年度から段階的にレセプトオンライン請求が義務付けられ、2011年度からは診療所やクリニックを含めたすべての医療機関に義務づけられることもあって普及に拍車がかかっている。

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