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「地域医療再生はいま」第3回
地域医療再生に向けて、医師会の機能を活用。患者が安心できる「病診連携」構築を目指す
テーマ:千葉県の地域医療再生

2010/06/25
インタビュー 千葉県医師会会長 藤森宗徳 氏、千葉県医師会理事 原 徹 氏

原 この2地区に対して、目的を持って予算を執行していくということもありますが、千葉県全体で解決しなければならない問題へも、同時に取り組んでいく必要があります。「医療者の数的な充足」「医師、看護師などの増員」「病院経営を健全にするための資金」「地域における救急施設の充実」など、課題は山積しています。

──山武・長生・夷隅医療圏に東金九十九里地域医療センターを作る意義は、基本的には救命救急センターのないところにしっかりつくって機能させようということですが、これについてどうお考えでしょうか。

藤森 千葉大学にとっては、1つのチャンスであると思います。危機感もあるし研修医等を集めるよい機会にもなる。また、看護師など救急医療に不可欠なコメディカルを教育する場にもなります。力を入れてやってくれれば、よい結果につながると考えています。

「各種ワーキンググループ」「拡大型の地域保健医療協議会」や、
「地域医療再生本部」を通じ、コンセンサスを得る


──地域医療の問題を解決していくためには、医療者と行政、そして地域住民の三位一体が必要です。この3者のコンセンサスを得るために、医師会はどのような活動をされていますか。

藤森 地域医療再生については、いろいろな組織をつくっています。その1つに、「千葉県地域医療再生本部」や「拡大型の地域保健医療協議会やワーキンググループ」があって、医師会および医療関係者だけではく、市町村長などを委員に入れた話し合いの場をもっています。また県中央組織、地区組織、細分化された当該地区組織の3段階で協議を行う体制を作りました。様々な協議を階層ごとに実施し、地道に意見を積み上げていく。問題意識と解決方策について話し合いを続けて、相互のコンセンサスを得るということです。

原 目線がある程度同じ、例えば、“お医者様でも、患者様でもなく”、同じ目線で地域を考え、将来を考えてということができるかどうかです。やはり、「地域の将来を考えた医療」、「地域全体を考えた医療のあり方」を、行政と住民とで一緒に考えなければいけない時期に来ていると思います。

地域住民には、正しい知識を持ってもらうことが大切です。「必要な医療とは」どういうものか、自分たちが「医療費を使うことの意義」「いま患者として行っていることの他地区への影響」などを考えてもらうための啓発も必要です。お互いが、互助の精神がなければ“良い医療”は実現できないということを理解してもらうことでしょう。

──最後に、「地域医療再生」に関連して、一般の方々、報道機関に望むことは。

藤森 私は小児科ですが、患者を誘導するような報道がなされると困るのでやめてもらいたいですね。「病気になったら、専門医に直に行った方がよい」というのは、病院志向を助長させています。やはり、「かかりつけ医」に行くのが一番よいということを、この機会に広報してもらいたいと思います。

原 地域社会がきちんとできていれば、それは機能します。かつては、「誰がどこに」いて、「どんな生活をして」いて、「家族構成はこう」で、と。地域で診療を行う開業医はおおよそのところが分かっていた。しかし、独居老人の激増、孤独死の問題など、最近では、地域社会の人と人との関係が希薄になってきています。やはり、地域社会の再構築を一般の方々、地域住民のみなさんと考えていく必要がありますね。

また、患者はインターネットの普及に伴って、いろいろな知識を仕入れて医院、病院に来ます。しかし、よく見られる状況として「情報開示=不安の助長」といったことがあります。「知らなくてもよいことまで知っている」。そんなことよりも、「正しい知識を持っていただきたい」、そのためには、報道機関と共に啓発や教育が必要だと思います。

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