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「地域医療再生はいま」第3回
地域医療再生に向けて、医師会の機能を活用。患者が安心できる「病診連携」構築を目指す
テーマ:千葉県の地域医療再生

2010/06/25
インタビュー 千葉県医師会会長 藤森宗徳 氏、千葉県医師会理事 原 徹 氏

医療の「広域化」には、「連携」が鍵


──千葉県における医療問題の中で、これだけは喫緊に解決をしなくてはならないことは何でしょうか。

藤森 患者が安心できる「病診連携」を、もう一度構築することだと思います。開業医には、ある程度、専門疾患の管理に関する「スキルアップ」が必要です。病院は、「急性期を過ぎたら現場に帰す」「逆紹介を行なう」ということですね。この連携の中で、患者との信頼関係を構築していかなければなりません。

原 もう1つ、行政と地域住民の問題があります。やはり、住民あっての医療ですし、行政がそれを理解してくれなければできない。これは、非常に大切なポイントです。特に田舎、例えば館山は、世帯の8割が年間所得200万円以下です。すなわち税収がない。土地家屋などの資産は持っているものの、収入がない人ばかりなので、国民健康保険でも払えない人が多い。そうすると払える人の保険料率を上げていかなければならなくなる。税金を払える人が、補填していくという形になっています。

具体的な例を挙げることには抵抗はありますが、例えば館山市という地域だけを取り上げると、医療経済はある意味、すでに破綻しています。だから、医療圏を広域化しないと格差は解消されない。すなわち「広域化」こそが連携なのです。それは地区の連携でもあり、医療機関と住民の連携でもあり、病院と診療所の連携でもあります。すべてが連携して広域化しないと、医療問題、特に医療経済に関わる問題は解決できないと考えています。

──医療審議会を通して、山武・長生・夷隅医療圏、香取・海匝医療圏の2地区を中心に、「千葉県地域医療再生プログラム」が策定されました。現段階で、プログラムをどのように評価されていますか。

藤森 プログラムは、全国的なレベルで見ても、実態をよく検証しその解決策を提示した、レベルの高いものと評価しています。千葉県は現在、「医師不足」「看護師不足」「病床数の不足」、そして「個々の病院の赤字化など、医療経営の逼迫」など、いわば“四重苦”に喘いでいます。それでも何とかしないといけないという思いから、発展させたものが、今回の「地域再生医療プログラム」であり、整合性が高いと考えています。

ただ、国から「地域医療再生臨時特例交付金制度」の交付金として与えられた50億円、については、厳格に目的に沿った形で使ってもらいたいと思います。また、そこを管理するのが医師会の役目であるとも考えています。

──このプログラムの中で、医師会が主たる役割を担うのは、どんなところですか。

原 これまで、行政と大学病院・地域中核病院とが個別、単独で行ってきた医療行政を見直し、“地域における医療はどのようにあるべきか”という観点に立って、大学病院、地域中核病院、そして診療所を持つ開業医の連携を考えることが、このプログラムの基本です。

つまり、各医療機関との連携や、医療施設間の調整を図る。これまで行政が1つずつ縦割りでやってきたことについて、横の連携を図る必要が出てきます。これが、医師会の役割であると思います。

このプログラムは、平成20年4月に一部見直しされた県の「保健医療計画」と、根本は同じです。ただ、山武・長生・夷隅医療圏、香取・海匝医療圏の2地区に特化して、より密度を増したものになっています。

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