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千葉県の医療計画を審議する「千葉県医療審議会」が開催。地域医療再生を目指し、早急な計画実施を

2010/06/03
取材:21世紀医療フォーラム取材班 原田英子、構成:同 狩生聖子、文責:日経BP社BPNet編集プロデューサー 阪田英也

次に、「千葉県共用地域連携パス」の取り組みと進捗状況について、県からの報告があった。地域連携パスとは、病院内で活用していたクリニカルパス(患者の入院から退院までの間の手術や検査の予定から、食事や入浴の開始日時の診療計画の内容を記した書類)の範囲を、地域の病院などに拡大させたもの。

急性期病院から回復期病院、療養型病院、かかりつけ医、あるいは在宅などの流れに沿って、対象患者の状態に応じた医療支援を行う役割を果たすことがその目的である。従来は転院先の病院に紹介状を出すだけだったが、パスが患者と一緒に動くことで、医師同士がより詳しい患者情報を共有し、系統的な治療、リハビリなどにつなげることができるようになる。

千葉県は、病院地域連携室等会議や医療機関へのアンケート結果から、「共用地域連携パス」普及のメリットが大きいという結論に達し、千葉県保健医療計画の中にパスの作成を位置付け、平成20年から作成に取り組んできた。

県の担当者によれば、「昨年は、パスの例示モデルの作成までこぎつけた。普及に賛同いただける医療機関を募集したところ、2月12日現在で県内の510医療機関が集まった。本年度はさまざまな広報活動を通じてパスのことを知ってもらい、個別に病院を回ってパスの活用の依頼をしたい。また、地域住民や医療関係者との意見交換会を実施していき、パスのIT化や最新化につなげたい」と報告した。

現在、連携パスの項目は、「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」「がん」の4疾病。この中で、「脳卒中」と「糖尿病」には、「歯科」の項目があり、全国的にも注目されている。

これに関して千葉県歯科医師会からは、「千葉県歯科医師会では県との連携で、がん患者さんの治療開始前の口腔ケア事業の実施を行ってきた。こうした背景から、がんのパスの中にもぜひ、口腔ケアを加えてほしい」という要望が出された。

県は、「がんはステージによってパスの作り方が違う。現在はまだステージの低い、再発リスクの少ないものから始まっているが、これを足掛かりにさまざまなものを作っていただきたいので、その際には口腔ケア領域との関連について、歯科医師会の先生からご指導を承りたい」と回答した。

最後に山武・長生・夷隅地区の中核病院の役割を担うために計画された「東金九十九里地域医療センター」の進捗状況についての報告があった。平成26年開院を目標にすすめられているこのセンターは病床数314床、このうちICUは10床。救急医療、急性期医療を軸とした医療センターとなる予定である。設置主体は、東金市と九十九里町で、運営形態は一般地方独立行政法人となる。県はこのセンターに総額85億6千万円の財政支援を行い、千葉大学等と連携した医師・看護師等の医療従事者の確保など包括的な支援を実施していく。

県の報告に対して、東金市長の志賀直温氏は、「救急搬送に一番時間がかかるなど、課題の大きな私どもの地域において、問題解決への取り組みを必死に行ってきました、紆余曲折を経てここまで来たセンター開設計画ですが、まだ、ひと山もふた山も越えなければならない。立ち上げを成功させて地域の中で住民が安心して暮らせるように計画を実現しなければならないので、関係者の皆さんに今後も指導を承りたい」と述べた。

藤森宗徳氏もまた、「九十九里医療センターの建設がすすむ段階では、先の問題として医師、看護師の確保が一番の課題となるだろう。千葉県内全体の問題としてセンター推進に協力していかなければならない」と語った。

県は「財政支援と共に、千葉大学等と連携した医師・看護師等の医療従事者の確保など包括的な支援を実施していく予定」と、改めて表明し、会議は終了した。

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