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ISHスペシャルインタビュー
高血圧診療の温故知新◆荻原 俊男氏
臨床医に有用な研究成果が福岡に集結

高血圧の分野は日本から発信すべきことが多いので実りある学会にしたいと萩原氏

 第21回国際高血圧学会(ISH2006 Fukuoka)が、2006年10月15日(日)~19日(木)の5日間にわたり、福岡市の3会場(福岡サンパレスホテル、福岡国際会議場、マリンメッセ福岡)で開催される。同学会は2年に1回の開催で、最近では、アムステルダム(1998年)、シカゴ(2000年)、プラハ(2002年)、サンパウロ(2004年)で開かれてきた。わが国での開催は、1988年に京都市で開催されて以来、18年ぶり。学会長を務める、大阪大学教授の荻原俊男氏に、今学会の見どころを聞いた。(聞き手は、坂本 正=日経メディカル オンライン)


日本発の大規模臨床試験も発表

―第21回国際高血圧学会(ISH2006 Fukuoka)の開催が近づいてきました。今学会の“目玉”となる企画は何でしょうか。

荻原 今回のテーマは「Global Challenge for Overcoming High Blood Pressure」。世界レベルで大きな問題となっている高血圧の制圧に向けた議論を、基礎研究から臨床研究まで広く行う予定です。

 今回の福岡での開催は、名誉会長の1人である荒川規矩男先生(福岡大学名誉教授)が、国際高血圧学会の理事長をされていたころに決定したもので、日本での開催は18年前の京都開催以来2回目です。今回は、第5回アジア・太平洋高血圧学会(APSH)と第29回日本高血圧学会(JSH)の共同開催で、副会長の猿田享男先生はじめ多くの先生方のご協力により、最終の準備段階に入りました。

 注目を集めそうなのが、大規模臨床試験の発表です。日本高血圧学会が後援している高血圧患者に対する大規模臨床試験のJATOSと、CASE-Jの主要結果が発表される予定です。JATOSは、高齢者高血圧に対して、エホニジピンを第1次薬とした時の降圧目標に関する比較介入研究で、140mmHg未満群と160mmHg未満群とに分けて、比較しています。CASE-Jは、ハイリスク高血圧患者での第1次薬の違いによる比較介入試験で、カンデサルタン群とアムロジピン群とを比較しています。

 このほか、PHARAO、JIKEI-HEART、INNOVATION、SMART、J-HEALTHの主要結果や、TROPHY、ASCOT、VALUE、FEVERの新しいサブアナリシスの結果など、国内外から多くの研究結果の発表が予定されています。それぞれの試験デザインについては、ClincalTrials.govのホームページなどに掲載されています。

 いずれの臨床試験の結果も、高血圧の日常診療に大きな影響を与える有用な情報ですので、多くの臨床医の先生方のご参加をお待ちしています。なお、これらの結果発表は、10月18日(水)午後3時からのセッションで行われます。


口演200題、ポスターは1300題に

―高血圧発症の背景には地域差や民族違いなどがあり、各国の研究者や臨床医が一堂に会して論ずる難しさはありませんか。

荻原 もちろん、その国や地域の社会経済状況、民族によって違いますが、共通の問題もあります。国際高血圧学会ではその共通の問題解決に世界的な規模で取り組んできました。一方で、今学会では、そういった社会・経済・文化・民族の違いと、それによって起こる問題点の整理、解決策についてのセッションも設けました。State-of-the-Artsの中のEthnicity and Hypertension、Challenges for Hypertension Control in Developing Countries、Hypertension in Developing Countries、Hypertension in Sub-Saharan African Populations: Hypertension in an Unjust World、などがそうです。

 State-of-the-Artsのほか、Plenary lectureやBreakfast Topical Workshopなどの重要なプログラムは、ご担当いただいた先生方のご尽力により、いずれも最新のトピックスを盛り込んだ興味深いものばかりです。また、口演発表は約200題、ポスター発表は1300題あまりにのぼります。応募演題の半数は日本からのものですが、できるだけ国際性を高める目的で、日本からの口演演題採択はやや厳しくしました。それだけに科学的に非常に興味深いセッションを数多く企画できました。

 高血圧の分野は、長寿国日本での高血圧対策、世界的な問題となっている肥満・メタボリックシンドロームの話題、世界と比較して弱点とされてきた日本人を対象とした大規模臨床試験など、日本から発信すべきことが多い分野です。ぜひ、国内外から多くの方々にご出席いただき、実りある学会にしたいと願っています。

第21回国際高血圧学会の公式サイトはhttp://www.congre.co.jp/ish2006/

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