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1970年代前半
脳梗塞死が脳出血死を抜く
米国では国家高血圧教育プログラムがスタート

 脳血管障害は1951年以来50年間、わが国の死亡原因の第1位を占めていたが、その内訳を見ると脳出血による死亡が脳梗塞による死亡をずっと上回っていた。しかし、1970年代半ばを境に死亡原因は脳梗塞が脳出血を上回るようになった。この背景には、降圧治療の進歩も考えられるが、脂肪摂取量の増加や減塩などの影響が大きいと考えられている。

主な出来事:Ca拮抗薬の降圧効果発見
主な臨床研究:VA(Veterans Administration Study)、MRFIT(Multiple Risk Factor Intervention Trial)
主な新薬:なし

 脳血管障害は1951年以来50年間、わが国の死亡原因の第1位を占めていたが、その内訳を見ると脳出血による死亡が脳梗塞による死亡をずっと上回っていた。しかし、1970年代半ばを境に死亡原因は脳梗塞が脳出血を上回るようになった。この背景には、降圧治療の進歩も考えられるが、脂肪摂取量の増加や減塩などの影響が大きいと考えられている。

 1972年、金沢大学第二内科教授(当時)の村上元孝氏が、冠拡張薬(狭心症治療薬)であったジヒドロピリジン系Ca拮抗薬に降圧効果があることを発見した。日本発の初めての降圧剤である。当時は、降圧作用は短時間だったが、その後長時間作用型のCa拮抗薬が開発され、特に日本では広く使われるようになった。

 一方、米国ではVA研究の結果を受けて、高血圧の合併症予防効果のために、国民に降圧を勧めるべく国家高血圧教育プログラムを同年にスタートさせている。その結果、初めての高血圧治療ガイドラインとして作成されたのが、1977年の「高血圧の発見、診断および治療に関する米国合同委員会(JNC)」の第一次報告(JNC I)である(1970年代後半参照)。

 1973年、VA研究に続いて米国18市でMRFIT(Multiple Risk Factor Intervention Trial)がスタートした。対象は35~57歳男性の1万2866人。降圧薬投与、禁煙指導、食事指導などの特別介入群(6428人)と通常治療群(6438人)に分け、約7年間の追跡調査を行った時点では、両群間に冠動脈疾患死亡率に有意な差を認めなかった。しかし、特別介入を打ち切ったあとも追跡を続けたところ、平均10.5年の追跡では、冠動脈疾患死亡率が10.6%、急性心筋梗塞死亡率が24%も低下した。またBMI・飲酒・Na摂取は、収縮期血圧、拡張期血圧の両者に有意に独立した正の関係、K摂取は負の関係を認めた。

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