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1950年代後半
利尿薬の登場で降圧薬治療の夜明け近づく

主な出来事:利尿薬の降圧作用の証明
主なガイドライン:なし
主な臨床研究:なし
主な新薬:クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド(いずれもサイアザイド系利尿薬)

 1950年代前半以前に使われていた降圧薬(例:Veratrumアルカロイドや硝酸塩など)は副作用が多く、投与量の設定にも専門的な知識を要した。市販された最初の降圧薬は交感神経節遮断薬(ヘキサメトニウム、1952年)であるが、強力な副作用がある半面、起立性低血圧や性機能障害、便秘などの副作用も強く、入院治療を必要とした。

 1950年代前半には、交感神経抑制薬のレセルピンも承認され多くの患者に処方されたが、眠気やうつ傾向などの副作用があり、やがて使われなくなっていった。

 1959年に米国のEdward D. Freis氏が、サイアザイド系利尿薬のクロロチアジドの降圧作用を初めて証明、作用機序や血行動態などの面からも研究を進め、新しい降圧薬として紹介した。Freis氏は、高血圧における降圧療法の意義を初めての臨床介入試験(VA研究)で確かめた学者としても有名である。

 わが国でも非専門医が降圧療法を行うようになったのは、利尿薬(クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、トリクロメチアジドなど、1959~60年に承認)が登場してから。降圧作用が緩やかで、1日1~2錠、朝1回投与でよく、非専門医でも使いやすくなったからである。

 当時、主に治療対象となったのは収縮期が200mmHg以上の悪性高血圧患者で、「収縮期血圧はあまり下げてはいけない時代。160/100mmHg以上の人が降圧の対象となった」(築山久一郎氏=国際医療福祉大学附属熱海病院内科教授)という。

 世界保健機関(WHO)の専門委員会では、人口集団についての統計学的応用のために、切断点(cut off point)として「140/90mmHg以下を正常域」「160/95mmHg以上を異常(高血圧)域」を用いることを提唱した。

 1950年代後半は、本格的な降圧薬治療の夜明け前であった。

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