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2005. 11. 18

【AHA2005速報】

9.11テロ後、50歳以上の米軍要員に心血管イベントが大幅増加

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 米国と米国民にとって2001年の9.11テロが与えた衝撃は計り知れない。米軍要員の心筋梗塞発症率と再還流治療受診者について調べたところ、50歳以上でテロ後、発症率が跳ね上がっていたことが分かった。50歳未満には影響はみられなかった。Walter Reed陸軍医療センターのMatthew R. Jezior氏らの研究で、11月13日のポスターセッション「健康格差と社会精神学的要因」で報告された。

 Jezior氏らは、米軍医療データベース(DMSS:Defense Medical Surveillance System)の記録をもとに、テロ以前の、1999年1月1日から2001年9月11日までと、テロ以後の2001年9月12日から2003年2月28日までの間について、急性心筋梗塞と冠再還流治療の発生率(1000人・年あたり)を比較した。対象は調査時点で現役の全軍の要員とした。

 その結果、50歳未満では、9.11テロ前後で発生率に変化が見られなかったが、50歳以上の場合、テロ以前には急性心筋梗塞の発生率が1000人・年あたり2.78だったのに対し、テロ後には4.49と、6割以上増えていた。冠再還流治療についても同様の傾向で、50歳未満では顕著な差は見られず、50歳以上では、テロ以前の3.91から5.65と、4割強増加した。

 米軍では、9.11テロ後、戦闘活動のため、世界的規模の活動が行われている。Jezior氏らは、心血管イベント増加の詳細なメカニズムは不明としながらも、カリフォルニア南部大地震でも同様の心筋梗塞増加が起きていることを指摘している。

 こうしたことから同氏らは、軍の健康管理部門は、今後、テロなど国家保安上の危機が発生したとき、心血管イベントが増加する可能性を見逃さないようにすべきだと指摘していた。

 なお、本研究は疫学部門の優秀ポスターに選定されている。(中沢真也)

(日経メディカル)

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