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2005. 11. 18

【AHA2005速報】

プラバスタチンは造血幹細胞動員により、ハイバーネーション心の機能低下を抑制か

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 スタチンには心不全抑制作用が示唆されているが、可逆性の障害心筋においてプラバスタチンが心収縮力保持・回復に有用であることを示唆する基礎データが報告された。米University of BuffaloのGen Suzuki氏とJohn M. Canty, Jr.氏が、ブタ・ハイバーネーション心を用いた成績として報告した。

 同氏らはブタ左前下行枝を狭窄させハイバーネーション心を作製し、プラバスタチン4週間投与による変化を検討した。背景にあるのは、プラバスタチンにより動員された造血幹細胞・前駆細胞が心筋細胞に分化して障害心を修復するのではないかという仮説である。

 その結果、無処置のハイバーネーション心では左室前壁厚が無処置の偽手術心に比べ著明に減少していた。プラバスタチンは、このハイバーネーション心における左室前壁厚減少を有意に抑制した。ハイバーネーション心無処置群ではプラバスタチン群に比べ、細胞核濃度の有意な低下が認められたため、プラバスタチンはアポトーシスによる心筋細胞減少を抑制ないし代償したと考えられた。

 そこで造血幹細胞由来心筋細胞を探索すると、ハイバーネーション心、偽手術心を問わず、プラバスタチン群では心筋細胞間に造血幹細胞由来の細胞が有意に多く認められた。すなわち、プラバスタチンはハイバーネーション心におけるアポトーシスを抑制するのでなく、脱落心筋を補っている可能性が高いと考えられた。

 しかし、上記のプラバスタチンにより動員されたと考えられる細胞中、心筋細胞表現型を示していたのは約4%のみだった。そこでそれら細胞の分化を検討したところ、興味深いことに、心筋細胞への分化が認められた(ki-67陽性)のは、ハイバーネーション心でのみだった。

 すなわち、プラバスタチンは心筋における、造血幹細胞由来細胞を増加させるが、当初より心筋細胞としての表現型を示す細胞はほとんどない。これに対しプラバスタチンは、ハイバーネーション心においてのみ、心筋細胞への誘導作用を示し、正常心ではそのような作用を示さないと考えられた。

(日経メディカル)

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