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2005. 11. 18

【AHA2005速報】

日本での1次予防にプラバスタチン(メバロチン)10〜20mg/日が有用――大規模試験MEGA Study

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高脂血症

 海外に比べ生活習慣、イベント発症リスク、医療環境の異なる日本において、あえて積極的な脂質低下治療を行なうまでもなく、メバロチン(一般名:プラバスタチン)の心血管系疾患に対する1次予防効果が得られることが明らかになった。

 日本で行なわれた大規模な無作為化比較試験として初めて、AHAのLate-Breaking Clinical Trialに採択されたMEGA Studyの結果、「食事療法+メバロチン10〜20mg/日」というわが国における従来どおりの治療により、冠動脈イベントリスクが相対的に33%有意に(p=0.010)低下することが、三越厚生事業団常務理事の中村治雄氏より報告された。

 MEGA Studyは、明らかな冠動脈疾患の既往・所見を認めず、総コレステロール(TC)が220〜270mg/dLの男性(40〜70歳)と女性(閉経後〜70歳)を対象とする心血管系疾患の1次予防試験である。7832例が「食事療法単独」(食事療法単独群:3966例)と「食事療法+プラバスタチン10〜20mg/日併用群」(メバロチン群:3866例)に無作為化され、PROBE法(追跡はオープンラベル、イベント評価はブラインド)で評価された。平均追跡期間は5.3年であった。

 対象患者の平均年齢は58歳で、そのうち68%が女性であった。42%に高血圧、21%に糖尿病が認められた。背景因子で特徴的だったのは血清脂質で、TC平均値の243mg/dL、LDLコレステロール(LDL-C)平均値の157mg/dLは欧米と試験より若干低い程度だが、HDLコレステロール(HDL-C)平均値58mg/dLは欧米よりもかなり高く、またトリグリセライド(TG)中央値127mg/dLは相当低い。

 追跡期間中の血清脂質は、メバロチン群で試験開始時に比べ、TCは11.5%、LDL-Cは18.0%、TGは3.1%減少し、HDL-Cは5.8%増加した。LDL-Cの減少率は、英国で同様にメバロチンによる1次予防作用を検討した大規模試験WOSCOPS(26%)の半分以下でしかなかった。それにもかかわらず、MEGA Studyにおける1次評価項目「冠動脈疾患」(致死性・非致死性心筋梗塞、狭心症、心臓突然死、血行再建術)は、メバロチン群において食事療法群に比べ相対的に33%も有意(p=0.01)に減少していた。1例の冠動脈疾患を回避するために必要な治療数(NNT)は119例である。また、性別、年齢などで分けたサブグループごとで比較しても、メバロチン群で冠動脈疾患が増加傾向を示す集団はなかった。

 さらに、「致死性・非致死性心筋梗塞」のみで比較しても、メバロチン群では48%の有意(p=0.03)な減少が認められた。同様に「冠動脈疾患+脳梗塞」を比較すると、メバロチン群で有意(p=0.005)に30%減少していた。がん、横紋筋融解症といった重篤な有害事象、また臨床検査値異常についても両群で同等であり、これまでの数々のエビデンスと同様、メバロチンの長期安全性が確認された。

 以上のとおり、わが国における1次予防では、積極的脂質低下療法はおろか、欧米の標準治療よりもマイルドな脂質低下治療で十分に有用であることが科学的に初めて実証された。今後の日本での高脂血症治療に大きな衝撃を与えるであろうエビデンスである。(山科真、医学ライター)

(日経メディカル)

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