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2005. 11. 17

【AHA2005速報】

MDA-LDL減少とHDL-C増加を介し、プラバスタチンは日本人の冠動脈プラークを退縮させる

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循環器 | 高脂血症

 LDLは動脈硬化促進的と考えられているが、動脈硬化病変進展と相関するLDLは正常なLDLではなく、酸化修飾を受けたLDLの一種「マロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL)」であり、プラバスタチンはこのMDA-LDL減少とHDLコレステロール(HDL-C)増加を介してプラークを退縮させることが明らかになった。冠動脈疾患患者が「LDLコレステロール(LDL-C)値100mg/dL未満」を目標にプラバスタチンを服用したところ、6カ月後にはプラーク容積が14%有意に減少し、この減少と有意な相関を認めた血清脂質の変化は「HDL-C増加」と「MDA-LDL減少」のみだった。日本大学駿河台病院の谷樹昌氏らが11月15日のポスターセッションで明らかにした。

 谷氏らは、狭窄率50%以下の安定した冠動脈疾患75例を、プラバスタチン10〜20mg/dL群(52例)とプラセボ群(23例)に無作為化して6カ月追跡後、血管内エコー法(IVUS)で評価したプラーク容積を追跡前後で比較した。プラバスタチン群の目標LDL-C値は100mg/dL未満とされたが、70mg/dL未満まで低下した場合はプラバスタチンを5mg/日へ減量した。

 その結果、プラバスタチン群のプラーク容積は6カ月間服用後7.8±13mm3減少し、0.5±2.1mm3増加したプラセボ群と有意(p<0.01)な差を認めた。プラーク容積の変化率で比較しても同様で、プラセボ群における1.1±4.6%の増加に対し、プラバスタチン群の変化率は−14±23%だった(群間差:p<0.05)。血清脂質に関し、総コレステロール(TC)、LDL-C、MDA-LDLはいずれも、プラバスタチン群においてプラセボ群に比べ有意に減少し、HDL-Cは有意に増加していた。

 そこで上記プラーク退縮と有意に相関する因子を多変量解析で求めたところ、HDL-CとMDA-LDLのみが、プラーク退縮と有意に相関していた。個別の相関を検討すると、MDAL-LDLはプラーク容積と有意な正の相関(r=0.522、p<0.0001)、HDL-Cは負の相関(r=−0.555、p<0.0001)を示し、またMDA-LDLの変化率はHDL-C変化率と負の有意な負の相関を示していた(r=0.454、p=0.001)。

 一方、上記多変量解析において、TC、LDL-Cとプラーク退縮の相関は有意ではなかった。また、年齢、糖尿病、高血圧、喫煙も、このモデルでは有意な因子とはなっていなかった。「プラーク進展・退縮と相関するのはLDL-CではなくMDA-LDLであることが明らかになったとともに、MDA-LDLを有意に減少させるプラバスタチンが、プラーク退縮においても有用であることが示された」と谷氏らは結論した。

 なお、本研究はすでに、American Journal of Cardiology誌2005年10月15日号1089-1094に掲載されている。(宇津貴史、医学ライター)

(日経メディカル)

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