
2005. 11. 16
【AHA2005速報】
喫煙禁止条例の施行後に急性心筋梗塞が30%近く減少−−コロラド州プエブロ市の報告
米コロラド州プエブロ市では、全面的な喫煙禁止条例の施行後に急性心筋梗塞の患者が30%近くも減少したことが分かった。現在、コロラド州では州として喫煙禁止法の立法化を検討しているが、ブエブロ市での成果は大きな影響を与えそうだ。同市のCarl Bartecchi氏らが11月14日のセッション「Prevention: Health Policy and Outcomes Research」で発表した。
研究グループはまず、ブエブロ市がSmoke-Free Air条例を施行した2003年7月1日の前後3年間の急性心筋梗塞の発生件数を調べた。その結果、2002年1月1日から2004年12月31日の間に、ブエブロ市内の病院に入院した急性心筋梗塞の患者は1112人だった。このうち、市内在住の患者は690人、市外在住の患者は165人だった。
喫煙禁止条例の施行後の2003年7月1日から2004年12月31日までの期間と、施行前の同じ期間に分けて、市内在住の患者数と市外在住の患者数を比較したところ、市内在住の患者は399人から291人に大幅に減少していた(施行後に対する相対危険度は0.73、95%信頼区間0.63-0.85)。これは施行後に、27.1%も急性心筋梗塞の患者が減ったことになる。
一方、市外在住の患者は、89人から76人に減少していた(相対危険度は0.86、95%信頼区間0.63-1.16)。だが、市外在住の人が急性心筋梗塞で入院するオッズ比(対市内在住の人)は、1.76(95%信頼区間1.37-2.24、p<0.001)と有意に高かった。
なお、同様の禁止条例を施行していないエルパソ郡についても同様の期間で調べたところ、984人から955人と、ほとんど減少していなかった(相対危険度は0.97、95%信頼区間0.89-1.06)。
これらの結果から研究グループは、「公的な喫煙禁止制度は十分な効果を挙げている」と強調、「(喫煙禁止禁条例は)公衆衛生の政策上、重要な意味を持っている」と指摘した。(三和護、医療局編集委員)
(日経メディカル)
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