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2005. 11. 16

【AHA2005速報】

オルメサルタンは心房細動による心内膜のリモデリングを抑制する――ラットで確認

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 心房細動(AF)に起因する心内膜の凝固促進的リモデリングに対しオルメサルタンが抑制的に作用するとの成績が、11月13日のポスターセッションで報告された。心臓血管研究所の山下武志氏らがラットを用いて検討したところ、AFによる「外因性凝固阻害因子(TFPI)、トロンボモジュリン(TM)ならびに内皮由来一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現低下」と「PAI-1増加」を、オルメサルタンが抑制していた。

 山下氏はすでに、心内膜におけるTFPIとTM発現減少をラット持続性心房細動モデルにて報告している(掲載はCirculation誌2003年11月10日号。現在、全文を同誌Webサイトの[こちらhttp://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/108/20/2450]から閲覧できる)。

 そこで今回、このようなリモデリングにアンジオテンシンIIが関与しているか検討すべく、上記モデルTEPIとTM発現にアンジオテンシンII受容体拮抗薬オルメサルタンの前投与が及ぼす影響を検討した。加えて今回は、eNOSとPAI-1の発現も観察した。

 12週齡のSprague-Dawleyラットに2週間オルメサルタン(1または3mg/kg/日)を2週間経口投与後、1,200bpmの心房ペーシングを8時間行ない、各種たんぱく質とmRNA発現を比較した。その結果、この用量のオルメサルタンでは、血圧、心拍数とも無投与群と有意差を生じなかった。それにもかかわらず、無投与群ではsham群に比べ有意に減少していたTFPI、TMならびにeNOSのたんぱく質が、オルメサルタン投与群では1ないし3mg/kg/日のいずれにおいても有意に抑制されていた。同様にPAI-1たんぱく質の増加の抑制も、オルメサルタン投与群では認められた。

 一方、mRNAレベルで比較すると、TFPI、TMとeNOSmRNA発現減少に対するオルメサルタンの抑制作用は有意ではなく、PAI-1 mRNA増加抑制作用のみが有意だった。すなわち、オルメサルタンは、AFによる(1)TFPI、TMとeNOS減少をたんぱく質合成レベルで抑制し、(2)PAI-1増加をmRNA転写以前で抑制する──と考えられ、「AFによる心内膜の凝固促進的リモデリングに対する、血行動態とは独立したオルメサルタンの抑制作用が明らかになるとともに、このようなリモデリングにおいてアンジオテンシンIIは転写前・後のいずれにもかかわっていると示唆された」と山下氏らは結論した。(宇津貴史、医学ライター)

(日経メディカル)

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