
2005. 11. 14
【AHA2005速報】
PCIを受けた85歳以上の症例、その臨床像の一端が明らかに



85歳以上の高齢者に対するPCI(経皮的冠動脈インターベンション)の実施例は増えているが、膨大なデータベースの分析から、狭心症の重症度が重い、高血圧の割合が高い、などの臨床像が浮かび上がった。Emory大学のEmir Veledar氏(写真)が11月13日、セッション「Age and Gender: Health Policy and Outcomes Research」で発表した。
研究グループは、85歳以上の高齢者でPCIを受けた症例の臨床上の特徴と治療成果を明らかにするため分析を行った。対象は、米国心臓病学会の米国心血管データレジストリー(ACC-NCDR)に登録されたPCI症例で、2001年1月から2004年9月までに登録された症例の計2万1334例を評価した。
調査の結果、疾患別でみると、慢性冠動脈疾患(CAD)を持つ高齢の患者が1万4077例(CAD群、平均年齢87.7±2.3歳)でもっとも多く、急性心筋梗塞で非ST上昇の高齢の患者が4316例 (NSTEMI群、平均年齢88±2.4歳)、急性心筋梗塞でST上昇の高齢の患者が2941例(STEMI群、平均年齢88±2.5歳)で続いた。
また患者背景としては、大多数は女性であり、CAD群で53.4%、STEMI群で61.9%、NSTEMI群で57.7%を占めていた。臨床上の特徴としては、狭心症重症度はどの群でも概ね重く、狭心症重症度3-4の割合が、CAD群で64.6%、STEMI群で97.5%、NSTEMI群で96.6%だった。また、高血圧の割合は高く、CAD群で79.3%、STEMI群で70.8%、NSTEMI群で78.8%だった。一方、糖尿病は、CAD群で20.6%、STEMI群で17.4%、NSTEMI群で24.0%と比較的少なかった。
院内死亡率は、CAD群が1.4%、NSTEMI群が5.1%、STEMI群が15.6%で、いずれも85歳未満の患者より高かった。死亡率が比較的高かった点については、「重症度を反映したもの」(Veledar氏)と考察した。
また、死亡に関連する危険因子を調べたところ、CAD群では、年齢(オッズ比1.069)、糖尿病(1.47)、ショック(22.7)などが、NSTEMI群では、糖尿病 (1.41) 、ショック(9.2)など、STEMI群では、糖尿病(1.41)、ショック(9.2)などが、それぞれ浮かび上がった。
Veledar氏は、今後も85歳以上の高齢者に対するPCI実施例は増えていくとし、今回の研究のように、実施症例の特徴を明らかにし、リスクの層別化を向上させる試みが重要になっていくと強調した。(三和護、医療局編集委員)
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