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2005. 11. 20

妊婦における抗TNF薬投与の安全性−アメリカ・カナダのリウマチ専門医調査より

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 妊婦に対する抗TNFα薬投与は「カテゴリーB 注)」のリスクとされているが、関節リウマチ(RA)患者において、同薬の投与が妊娠に与える影響については詳細な検討があまり行われていなかった。テキサス大学(米国)のCatalina Orozco氏は、アメリカとカナダのリウマチ専門医に調査を行い、抗TNFα薬が胎児や妊婦に悪影響を及ぼす可能性はほぼ否定できることを明らかにした。本結果は、11月15日のポスターセッションにて発表された。

 演者らが行ったオンライン調査で、米国・カナダのリウマチ専門医約3000人に対し抗TNFα薬の安全性に関する情報を収集したところ、約1200人から回答が寄せられた。このうち225人の医師からは、妊娠中に抗TNFα薬治療をうけた症例が463例の出産に関する情報を得た(1次調査)。次いで、この225人の医師に対して、妊娠したRA患者に関するより詳細なデータの提供を依頼し、抗TNFα薬治療をうけた61例を含む95例について患者背景、妊娠中、出産後の治療などの情報を収集することができた(2次調査)。

 1次調査で収集された463例のうち、出産は92.8%、流産6.0%、中絶1.2%、奇形0%であった。これらは人口統計値である67%、17%、16%、3%と比較して、むしろ優れた結果である傾向がみられた。次いで行われた2次調査の結果から、RA患者の30%が妊娠中も治療を継続しており、抗TNFα薬治療を受けた61例では正常出産、流産、奇形児の頻度はぞれぞれ77.0%、8.1%、3.2%と、ここでもやはり人口統計に比して優れている傾向が認められた。

 Orozco氏は、「今回の調査で、抗TNF薬投与が妊娠に与える影響について貴重な情報を収集することができた。同薬が妊婦に対して重大な悪影響を与えるとの傾向は認められなかった。」とコメントした。(水田吉彦、医学ライター)

注) カテゴリーB:動物実験で問題ないが臨床試験結果なし、または動物実験で問題があるが臨床試験で問題なし

(日経メディカル)

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