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2005. 11. 20

最新のRA治療薬によって、患者の身体機能障害はどこまで回復するか−大規模臨床試験の統合解析結果より

 関節リウマチ(RA)患者において、身体機能の維持や改善が治療の重要な目標であることはいうまでもない。RA患者の身体機能評価指標の1つにHAQスコアが挙げられるが、HAQスコアは治療によって改善が期待できる部分もある一方、慢性的かつ不可逆的な障害がある場合は治療によっても改善が難しいと考えられ、それぞれの要素の割合によって治療の結果として得られるHAQスコア改善効果は大きく影響される。

 米国立衛生研究所(NIH)のDaniel Aletaha氏は、既に報告されている臨床試験結果を統合解析(pooled analysis)し、臨床的寛解が得られた症例のHAQスコアのうち可逆性な改善がみられる部分の割合が、RAの罹病期間によってどのように異なるかを報告した。本演題は、11月15日のポスターセッションにて発表された。

 同氏は、ATTRACT試験(インフリキシマブ)、ASPIRE試験(インフリキシマブ)、ARMADA試験(アダリムマブ)、DE019試験(アダリムマブ)、およびEuropian Leflunomide Trial(レフルノミド)の試験データを統合し、治療によって臨床症状の寛解を達成した患者におけるHAQスコアの推移を分析した。臨床症状の寛解とは、腫張関節数≦1、疼痛関節数≦3、血清CRP値正常(≦0.8mg/dL)、医師によるVAS全般改善度≦15mm(100mmVAS)のすべての項目を満たした場合と定義した。

 上記の寛解基準を満たした435例において、寛解時のHAQスコア(平均)を罹病期間の長さで分析したところ、罹病期間2年未満および2〜5年では0.4未満であったが、10年以上では0.7以上であり、罹病期間が長くなるほど、寛解を達成してもより多くの身体機能障害が残っている傾向が認められた。HAQのうち寛解時に改善がみられた項目(可逆性の項目)の割合も罹病期間とパラレルな関係にあり、2年未満では80%以上(中央値)の項目が改善したが、10年以上になると改善がみられた項目は約50%に過ぎなかった。このことから、最新の治療薬をもってしても、罹病期間の長い患者では完全な身体機能障害の改善を得ることは難しく、HAQスコアの中で不可逆的(irreversible)な部分が占める率が罹病期間とともに増加していることを示している。

 同氏は、「抗TNFα薬など、優れた薬剤の登場でRA患者の寛解率は上昇したが、臨床症状の寛解が得られた患者であっても、罹病期間が長いと不可逆的な身体機能障害の残存は避けられない。HAQスコアの改善によって治療効果を判定する際には、罹病期間によって改善率が異なることに注意が必要であろう。また、最新の薬剤のメリットを最大限に得るためには、これらの治療薬を発症後早期から積極的に使用するべきである。」とコメントした。(水田吉彦、医学ライター)


(日経メディカル)

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