
2005. 11. 18
関節リウマチ患者で心筋梗塞予防のアスピリン服用者は2割弱、リウマチ専門医に意識改革促す
関節リウマチ患者は心筋梗塞リスクが高いことは知られているが、アスピリンの予防投与を受けているのは、2割に満たないことが明らかになった。米Wake Forest大学のLee Colglazier氏らが、1万4000人超の関節リウマチ患者を調べ明らかにしたもので、11月16日に開催された米国リウマチ学会のコンカレント・アブストラクト・セッションで発表した。
Colglazier氏らは、関節リウマチ(RA)の人1万4114人と、非炎症性リウマチ性疾患(NIRD)の人4009人について、3年間にわたり調査を行った。平均年齢は、RA群が61.9歳、NIRD群が63.9歳だった。なお、アスピリン予防投与の定義としては、1日81〜325mgとした。また、NIRDは心筋梗塞のリスク因子とは考えられていない。
その結果、アスピリンの予防投与を行っていた割合は、年齢と性別を補正後、RA群は18.4(95%信頼区間:17.7〜19.1)%、NIRD群は25.1%(同:23.7〜26.5)%だった。年齢、性別と心筋梗塞歴を補正した後の、RA群のNIRD群に対するアスピリン予防投与に関するオッズ比は、0.67(同:0.62〜0.70)だった。
一方、心筋梗塞の発症リスクは、年齢と性別を補正した後、RA群がNIRD群の1.7(同:1.1〜2.6)倍にも上った。
この研究からはRA患者にアスピリン予防投与の少ない原因を特定できなかったが、Colglazier氏らは、1、リウマチ専門医が心筋梗塞の予防といった一般的な予防治療については、プライマリケア医に任せてしまっている、2、関節リウマチが、通常の心筋梗塞のリスク因子として一般的なチャートに載せられていない、3、関節リウマチ患者は多種の薬を服用しており、アスピリンの予防投与は軽視されている、4、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の注意書きで、アスピリンの服用を思いとどまらせるような表現がある――などを挙げている。(Andrew G. Ten Have、當麻 あづさ、医療ジャーナリスト)
(日経メディカル)
- インフリキシマブは、関節リウマチ(RA)患者の手足における関節破壊を著明に抑制――ASPIRE試験の画像診断解析より(11/22)
- 抗TNFα療法は重篤な感染症の発生リスクを高めない――英国データベース解析より(11/22)
- 抗TNFα薬は患者の就労時間を著明に増加させた――スウェーデンのデータベース(STURE)より(11/22)
- インフリキシマブなどを用いた早期・積極的治療で完全寛解率は2倍、関節破壊進行は10分の1に−早期RA患者を対象としたBeSt試験の結果より(11/22)
- インフリキシマブ治療に対する患者の満足度は高い−BeSt試験の対象患者アンケート結果より(11/22)
- メトトレキサート不応例に対するベストな治療戦略は、速やかなインフリキシマブ導入−−BeSt試験におけるMTX単独療法の結果より(11/22)
- 関節リウマチ患者に対しメディテーションやヨガを行うことで、ESRが33%減、DAS28は11%減(11/21)
- 抗RANKL抗体デノスマブの閉経後投与で、骨密度と骨代謝の改善効果を2年間で確認(11/21)
- レフェコキシブ販売中止以降の米国NSAID処方状況が明らかに、非COX-2阻害薬の処方数は増加、特にメロキシカムは85%増(11/21)
- 線維筋痛症の症状緩和にsodium oxybateが有効、治験第2相の結果(11/21)
- 女性の痛風リスクが初めて明らかに、男性と同じく肥満、高血圧、利尿薬服用など(11/21)
- 妊婦における抗TNF薬投与の安全性−アメリカ・カナダのリウマチ専門医調査より(11/20)
- 最新のRA治療薬によって、患者の身体機能障害はどこまで回復するか−大規模臨床試験の統合解析結果より(11/20)
- 関節リウマチ患者で心筋梗塞予防のアスピリン服用者は2割弱、リウマチ専門医に意識改革促す(11/18)
- 骨粗鬆症の発見精度上げる低コスト検査法が登場、デキサ法検査時に脊椎圧迫骨折を見極め(11/18)
- インフリキシマブで寛解導入し薬剤を中断した症例では2年後まで関節破壊抑制効果が継続して認められる−BeSt試験の第4群における結果より(11/18)
- インフリキシマブの投与により骨密度低下が抑制(11/18)
- 完全ヒト抗腫瘍壊死因子抗体製剤golimumabが関節リウマチ対象フェーズ2で有望結果(11/18)
- SLEと関節リウマチのアテローム性動脈硬化症リスク増に、抗炎症作用のないHDLが関与か(11/18)
- トシリズマブの長期投与が全身型若年性特発性関節炎に有効(11/18)
- インフリキシマブの効果予測因子に関する検討――早期RA患者を対象としたASPIRE試験のサブ解析から(11/18)
- 体内のセレニウム値が少ないと膝骨関節症リスクが増、足の爪の測定で明らかに(11/17)
- 膝骨関節症にはグルコサミンがアセトアミノフェンより効果的、欧州GUIDE試験の結果が公表(11/17)
- 自家骨髄移植で強皮症患者の血行障害改善に成功(11/17)
- 安定性を高めたウリカーゼが難治性痛風にフェーズ2試験で効果示す(11/17)
- 痛風対象の大規模長期試験でフェブキソスタットの方がアロプリノールよりも効果の高いことが報告(11/17)
- アトルバスタチンの投与で全身性強皮症患者の骨髄由来の血管内皮前駆細胞数が増加、症状も改善(11/17)
- SLE患者で血中OPG濃度が上昇することを確認、SLE患者の動脈硬化のマーカー候補に(11/17)
- 手関節の超音波画像診断は、インフリキシマブ治療開始後の炎症改善効果を早期から検出できる――パワードプラ法を用いた検討(11/17)
- 早期からの積極的治療は、患者の長期医療費を抑制する可能性――日本におけるコホート研究J-ARAMISの解析結果より(11/16)
- インフリキシマブ+MTX併用は、RA患者の死亡リスクを低下させる――National Data Bank for Rheumatic Diseasesからの分析(11/16)
- 抗TNFα薬による長期間(2年および5年)の治療継続率について――スウェーデンのデータベース(STURE)より(11/16)
- 抗TNFα薬の投与は、RA患者の悪性腫瘍リスクを増大しない――CORRONAデータベースからの解析結果(11/16)
- DMARDとの比較で、インフリキシマブは死亡リスクを増加させない−英国コホート研究の解析結果より(11/16)
- 優れた寛解導入率を示したインフリキシマブ治療−START試験の解析結果より(11/16)
- 抗TNF抗体断片などを結合したNanobodyが動物モデルで効果(11/16)
- 全身性骨粗鬆症の抑制にインフリキシマブが期待された−OSTRA試験の解析結果より(11/16)
- 次世代抗TNF抗体AME-527がフェーズ1/2試験で有望結果(11/16)
- 抗トロンボポエチン抗体の有無でSLE患者の血小板減少症の治療法を選択(11/16)
- アデノシンA2A受容体の低分子アゴニストを同定、動物実験で効果を確認(11/16)
- リセドロン酸ナトリウム水和物が膝骨関節症の関節破壊を遅らせる可能性(11/16)
- 抗NGF抗体が骨関節炎の痛みに効果がある可能性(11/16)
- ビスフォスフォネートの低コンプライアンス、理由は「長期の服用で薬が効かなくなる」などの誤解から(11/15)
- 学会開幕講演、「リウマチ治療の生物学的革命は治癒を実現する可能性秘める」(11/15)
- 大量免疫抑制剤と末梢血幹細胞移植が自己免疫疾患に有効、間質性肺炎も改善(11/15)
- 関節リウマチを対象にした組み換えヒト軟骨糖たんぱく質-39のフェーズ1で有望結果、免疫寛容狙う(11/15)
- 関節リウマチにαフェトプロテインが有効(11/15)
- グルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用が症状の重い膝骨関節炎の痛みに有効(11/15)
- リツキシマブが抗TNF療法が無効の関節リウマチに有効であることが大規模試験で実証(11/15)
- アダリムマブが大規模臨床試験で強直性脊椎炎に有効示す(11/15)
- 抗CD22抗体エブラツズマブがシェーグレン症候群で有効性示す(11/15)
- インフリキシマブは早期RA患者の日常生活動作を迅速に改善――ASPIRE試験の結果解析から(11/14)
- インフリキシマブは活動性RA患者のQOLを迅速に改善――START試験の解析結果より(11/14)
- 痛風患者で発作時以外にも頻繁に痛みを経験する人は2割近い、自己申告アウトカムのデータで明らかに(11/14)
- SLE免疫寛容誘導モデルマウスから取り出した樹状細胞が別のマウスに免疫寛容を誘導(11/14)
- 関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎の人は心血管疾患などの発症リスクが大幅増、大規模データで明らかに(11/13)
- 米国リウマチ学会開幕、生物学的製剤関連など注目演題目白押し(11/13)