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2005. 11. 17

アトルバスタチンの投与で全身性強皮症患者の骨髄由来の血管内皮前駆細胞数が増加、症状も改善

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循環器

 慶応義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門専任講師の桑名正隆氏(写真)らは全身性強皮症患者にアトルバスタチンを投与することで骨髄由来の血管内皮前駆細胞(CEP)数が増加し、患者の自己診断による症状の改善がみられたことを明らかにした。あくまでパイロットスタディの位置づけだが、循環障害が起こる全身性強皮症患者の症状改善方法につながる成果だといえる。成果は11月16日、米国サンディエゴで開催されている米国リウマチ学会のACR Concurrent Session、「Translational Approaches to Scleroderma」で発表された。

 桑名氏らは、全身性強皮症の循環障害の原因のひとつが血管の修復系の異常にあると考え、実際に患者でCEP数が健常人に比べると3分の1から4分の1と減少し、機能的にもCEPに異常があることを見出していた。そこで虚血系心疾患の患者でCEP数の増加効果が報告されていたアトルバスタチンを全身性強皮症患者に投与する試験を行った。アトルバスタチンは、血管内皮増殖因子(VEGF)と類似の経路で作用しているのではないかと考えられている。

 桑名氏らは14人の全身性強皮症患者に1日当たり10mgを12週間投与し、その後4週間経過観察を行った。コレステロール値が下がりすぎた1例で中止した以外は13例で投薬を完了した。その結果、末梢血20mL中のCEP数は正常人(約1000個)と比べると低いものの有意に増加した。患者によって多少のばらつきはあったものの、投与前が平均で140±95であったものが4週目で300±188、8週目で279±120、12週目で308±208となった。

 また、手の色で循環状態がわかるレイノー現象などを患者が自己判定した結果、有意に症状の改善が見られた。さらに、全身性強皮症患者では血中のVEGF濃度や塩基性線維芽細胞増側因子(bFGF)濃度が健常人よりも高いが、アトルバスタチンの投与によって濃度が低下することも桑名氏らは確認した。ただし、患者からCEPを回収して、in vitroで血管内皮細胞に成熟する能力を調べたところ、改善はしていなかった。

 桑名氏らはアトルバスタチンをより長期間投与する臨床研究を進めているほか、CEPを増やす別の薬剤の臨床研究を行う準備を進めている。(横山勇生)

(日経メディカル)

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