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2005. 11. 17

手関節の超音波画像診断は、インフリキシマブ治療開始後の炎症改善効果を早期から検出できる――パワードプラ法を用いた検討

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関節リウマチ | バイオ医薬

 英国ケネディー・リウマチ研究所のPeter Taylor氏は、インフリキシマブ投与を受けた早期リウマチ(RA)患者の中手指節関節(MCP)をパワードプラ法にて経過観察し、多くの患者で関節腔内の血流シグナルが治療開始後早期から正常化するとともに、その効果が長期間持続すること、またこれらの画像所見は疾患活動性の指標(DASスコア)が改善するよりも早く現れることを報告した。本演題は、11月15日のポスターセッションで発表された。

 RA患者においては、発症後早期から関節病変を客観的に把握することが重要である。 最近、パワードプラ法など超音波診断技術の進歩がめざましい。超音波診断を用いることで、軟部組織の詳細や病的な血管新生の程度までを把握することが可能になり、関節病変の客観的な把握に有用であるという。そこでTaylor氏らは、パワードプラ法を用いて、インフリキシマブによる関節腔内血流シグナルの改善効果を検討し、一般的に用いられている疾患活動性の指標(DASスコア)との比較を行った。

 対象は、メトトレキサート(MTX)治療を受けてもなお骨びらんが認められる、早期(罹病期間3年未満)のRA患者24例である。これを、MTX+プラセボ投与で治療継続する群(以下プラセボ群)と、インフリキシマブを併用する群(以下インフリキシマブ群;同薬5mg/kg+MTXを投与)に割り付け、二重盲検法にて54週間の観察を行った。

 炎症がない健常人の関節では、パワードプラ法で関節腔内に血流シグナルは観察されないことが知られている。今回の検討では、パワードプラ法で対象患者の中手指節関節腔内の血流シグナルを測定し、最大血流シグナルを示したピクセル数を計測して、各関節での数値を合計することでtotal Color Doppler Area(以下CDA値)を算出した。本検討においてCDA値は、最小値0〜最大値163111にまで分布し、CDA値500未満をもって「CDA寛解」と定義した。

 「CDA寛解」を達成した患者割合は、試験開始18週後ではプラセボ群9%に対して、インフリキシマブ群67%(p<0.009)、54週後ではプラセボ群18%に対して、インフリキシマブ群82%(p<0.009)であった。また、治療により疾患活動性が低下し、観察期間中いずれかの時点で寛解(DAS28スコア<2.6)を達成した患者では、その時点でのCDA値は低値を示していた。一方で、「CDA寛解」が得られた患者において、その時点でのDAS28スコアは広範囲に分布した。

 本結果について同氏は「我々のこれまでの検討と合わせて今回の結果を考察すると、インフリキシマブ投与によって関節内の血流シグナルが改善した患者では、たとえDAS28スコアによる疾患活動性の評価で改善が認められていなくても炎症症状が改善していると考えられ、関節破壊の進行が抑制されている可能性が示唆される」とコメントした。(水田吉彦、医学ライター)

(日経メディカル)

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