
2005. 11. 15
ビスフォスフォネートの低コンプライアンス、理由は「長期の服用で薬が効かなくなる」などの誤解から
骨粗鬆症の治療薬で、骨吸収を抑制する作用があるビスフォスフォネート製剤(成分名:リセドロン酸ナトリウム水和物)については、患者のコンプライアンスが悪いことが広く報告されている。これまでその理由は、厳しい服用規則や副作用などにあると考えられていたが、実は「長期の服用で薬が効かなくなる」などといった、ビスフォスフォネート製剤への大きな誤解が原因であることが分かった。これは、英国Poole Hospital NHS TrustのPaul Thompson氏が、ビスフォスフォネート製剤の処方歴のある約500人の女性を対象にした調査の結果明らかにしたもので、11月14日に開催された米国リウマチ学会のARHPコンカレント・セッションで発表した。
Thompson氏らは、骨粗鬆症でビスフォスフォネート製剤の処方を受けた、閉経後の50歳超の女性533人に対し、電話で聞き取り調査を行った。被験者の平均年齢は70歳、ビスフォスフォネート製剤を現在も服用中だったのは63%、過去12カ月以内に服用を中止してしまったのは37%だった。骨粗鬆症の診断を受けてからの期間は平均で8年間、また42%が骨粗鬆症による骨折歴があった。
調査の結果、54%が「定期的に服用することで、薬の効果がなくなってしまう」、56%が「服用を続けることで依存してしまうのではないか」といったビスフォスフォネート製剤に対する誤解を持ち、その服用に対する懸念を抱いていることがわかった。また、そうした懸念を持っている人は、そうでない人に比べ、ビスフォスフォネート製剤を指示通りに服用しない傾向が2.7倍にも上った(ハザード比2.7、p<0.0001)。一方、薬を規則どおりに飲むのが難しいなど、服用に実際的な困難を感じるとした人は、そうでない人にくらべ、指示通りに服用しない傾向は1.4倍(ハザード比1.4、p=0.03)だった。
さらに、ビスフォスフォネート製剤の服用が、骨折予防につながると考えている人は全体の46%に過ぎず、同治療法の効果についての理解もまた低いことがわかった。
会場からは、「この結果を、臨床現場はどう受けとめればよいのか」との問いがあり、それに対してThompson氏は、「患者ともっと話をし、治療に関する不安などを聞きだし、また治療の効果を理解してもらうことだ」とした。「患者向けの情報シートを配布してはどうか」との提案には、「既に我々はそれを実施してきたが、それでは不十分のようだ」と答えた。(Andrew G. Ten Have、當麻 あづさ、医療ジャーナリスト)
(日経メディカル)
- インフリキシマブは、関節リウマチ(RA)患者の手足における関節破壊を著明に抑制――ASPIRE試験の画像診断解析より(11/22)
- 抗TNFα療法は重篤な感染症の発生リスクを高めない――英国データベース解析より(11/22)
- 抗TNFα薬は患者の就労時間を著明に増加させた――スウェーデンのデータベース(STURE)より(11/22)
- インフリキシマブなどを用いた早期・積極的治療で完全寛解率は2倍、関節破壊進行は10分の1に−早期RA患者を対象としたBeSt試験の結果より(11/22)
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- 抗RANKL抗体デノスマブの閉経後投与で、骨密度と骨代謝の改善効果を2年間で確認(11/21)
- レフェコキシブ販売中止以降の米国NSAID処方状況が明らかに、非COX-2阻害薬の処方数は増加、特にメロキシカムは85%増(11/21)
- 線維筋痛症の症状緩和にsodium oxybateが有効、治験第2相の結果(11/21)
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- 骨粗鬆症の発見精度上げる低コスト検査法が登場、デキサ法検査時に脊椎圧迫骨折を見極め(11/18)
- インフリキシマブで寛解導入し薬剤を中断した症例では2年後まで関節破壊抑制効果が継続して認められる−BeSt試験の第4群における結果より(11/18)
- インフリキシマブの投与により骨密度低下が抑制(11/18)
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- トシリズマブの長期投与が全身型若年性特発性関節炎に有効(11/18)
- インフリキシマブの効果予測因子に関する検討――早期RA患者を対象としたASPIRE試験のサブ解析から(11/18)
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- 痛風対象の大規模長期試験でフェブキソスタットの方がアロプリノールよりも効果の高いことが報告(11/17)
- アトルバスタチンの投与で全身性強皮症患者の骨髄由来の血管内皮前駆細胞数が増加、症状も改善(11/17)
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- インフリキシマブ+MTX併用は、RA患者の死亡リスクを低下させる――National Data Bank for Rheumatic Diseasesからの分析(11/16)
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- 痛風患者で発作時以外にも頻繁に痛みを経験する人は2割近い、自己申告アウトカムのデータで明らかに(11/14)
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