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2005. 11. 15

大量免疫抑制剤と末梢血幹細胞移植が自己免疫疾患に有効、間質性肺炎も改善

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 九州大学病院第一内科教授の原田実根氏らの研究グループは難治性の自己免疫疾患患者に、大量の免疫抑制剤の投与を行い、自己の末梢血から分離した幹細胞を移植することで症状の改善ができることをフェーズ1/2臨床試験で確認した。特に膠原病に合併した間質性肺炎で効果が確認できた初めての例になるという。成果は11月14日に米国サンディエゴで開催された米国リウマチ学会のポスターセッション「SLE:Treatment」”で発表された。

 研究グループは8人の患者を対象に臨床試験を行った。8人の患者の内訳は全身性強皮症患者が5人、全身性エリテマトーデスと全身性強皮症の両方に罹っている患者、無筋痛性皮膚筋炎患者、ウェゲナー肉腫芽症患者がそれぞれ1人ずつだった。

 各患者をシクロフォスファミド2g/m2で2日間処理したあと、顆粒球コロニー刺激因子を投与し、末梢血に幹細胞を動員させた。アフェレーシスによってCD34陽性細胞を2×106個以上濃縮し、免疫学的に選別したあと低温保存した。そして体重1kgあたり50mgのシクロフォスファミドを4日間投与してから、低温保存していた末梢血幹細胞を移植した。強力な免疫抑制療法で異常をきたしている免疫系を抑え込み、幹細胞を移植することで新たに正常な免疫系を構築しようというものだ。

 臨床効果は有効な結果が得られた。全身性強皮症患者の皮膚の硬化部分はすべての患者でめざましく改善した。全身性強皮症患者で間質肺炎を併発している患者では程度の差こそあるものの有意に改善していることが血清マーカーや断層撮影術によって確認された。重度の間質性肺炎を患っていた無筋痛性皮膚筋炎患者でも著しい改善がみられた。ウェゲナー肉腫芽症患者では左の眼窩肉芽腫が小さくなり、眼球突出が抑えられた。

 また、高かった血清中のTNFα、TGFβ、IL-6の値は減少し、CD4T細胞中のIFNγとIL-4の比率も有意に減少した。

 強力な免疫抑制をかけるため、肺炎、敗血症、膀胱炎などの感染症は起きたが、生死には影響しなかった。(横山勇生)

(日経メディカル)

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