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記者の眼

2021改定で要注目! STと管理栄養士の役割
「リハビリ・機能訓練」「口腔ケア」「栄養改善」の推進役として期待

 「これから、言語聴覚士(ST)の役割がますます大事になってきます」──。2020年秋のことです。「2021年度介護報酬改定に向けて、今後、介護事業者は入所者・利用者のために何に取り組んでいくべきでしょうか」と尋ねたところ、厚生労働省の幹部は口腔ケアや栄養改善の重要性を挙げた上で、このように答えました。

 その時に「2021年度改定で、STの配置などが評価されるのでは?」と直感したことを覚えています。STは言語障害、音声障害、嚥下障害など、「話す」「聞く」「食べる」に関わる機能を支援するスペシャリストとして、医療・介護分野での活躍の幅が広がっています。

老健施設の「在宅復帰・在宅療養支援機能評価指標」で要件化

 今年1月に2021年度改定の主要改定項目が明らかになり、冒頭の発言の意味が分かりました。介護老人保健施設では、サービス類型の基準となる「在宅復帰・在宅療養支援機能評価指標」について、表1のように見直されます。

 (6)の「リハビリ専門職の配置割合」では、最高値(5点)の取得に、「理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の3職種をいずれも配置すること」が求められるようになります。以前は「PT、OT、STのうちいずれかを配置」という要件でした。

表1 介護老人保健施設における在宅復帰・在宅療養支援機能の評価の変更点 ※クリックで拡大します

 老健施設は在宅復帰・在宅療養支援を推進する観点から10項目の指標で評価され、その合計点によって「超強化型」「在宅強化型」「加算型」「基本型」「その他」の5つに分類されます。2021年度改定でPT、OT、STをそれぞれ配置することが要件化されたということは、端的に超強化型の算定で重要性が増すほか、幾つかの意味があると思います。

 1つは「リハビリ職の役割分担、機能分化」の明確化です。介護報酬の算定要件の中には、「PT、OT、STのいずれか」とリハビリ職のいずれかを配置すればよいというものが少なくありません。しかし、3職種の特性を踏まえて、配置すべき職種を明確にする、という将来の方向性が示されたことになります。

 もう1つは、2024年度改定など将来において、老健施設以外の他のサービスについても、STの配置や役割を評価していく可能性が高いことです。介護報酬改定では、まず介護保険施設に導入し、効果を検証した後に他のサービスに施策を展開する、ということが多いからです。

管理栄養士の配置を評価する加算も新設

 このように、改定によって特定の職種に注目が集まる、ということがあります。そしてもう1つ、2021年度改定で注目の職種があります。それは管理栄養士で、2021年度改定で改めて評価されることになりました。

 管理栄養士の配置などを評価する加算として、2021年度改定では、介護老人保健施設や介護医療院、特別養護老人ホームなどの施設系サービス共通で「栄養マネジメント強化加算」(11単位/日)が新設されました(表2)。

 同加算は管理栄養士を常勤換算方式で入所者数を50(施設に常勤の栄養士を1人以上配置している場合は70)で除して得た数以上を配置し、低栄養状態のリスクが高い入所者に対して、医師、管理栄養士、看護師等が協働して作成した栄養ケア計画に基づいた食事の観察(ミールラウンド)を週3回以上行うことなどが算定要件です。

 また、介護保険施設の運営基準では、「栄養士を1以上配置」から「栄養士または管理栄養士を1以上配置」に変更されます。さらに栄養マネジメント加算が基本報酬に包括化され、それに伴って「入所者の栄養状態の維持改善を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行わなければならない」と規定されました(3年間の経過措置あり)。

表2 施設系サービスにおける栄養ケア・マネジメントの推進 ※クリックで拡大します

「食べる」機能の支援を重視する2021改定

 これらの施策の背景には、2021年度改定の柱として、「リハビリ・機能訓練」「口腔ケア」「栄養改善」の推進が打ち出されたことがあります。口腔健康管理や低栄養状態の改善は、入所者などの健康寿命の延伸やQOL(生活の質)の向上にとって重要であるとともに、入院の減少に寄与するといった効果が期待されています。

 STなどによる嚥下訓練などを含めたリハビリ・機能訓練や口腔ケアによって経口摂取を促進するとともに、管理栄養士等による栄養マネジメントを推進するなど、「食べる」機能の維持・向上に重点を置いたのが2021年度改定の特徴の1つといえます。3つの取り組みを一体的に実施することで、より効果的な自立支援・重度化予防につなげることが目的です。

 この方針に沿う形で、「リハビリ・機能訓練」「口腔ケア」「栄養改善」の3つに関わる職種をバランスよく採用し、活用していくことが、2021年度以降の介護経営に求められているのではないでしょうか。

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