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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)切ってはいけない貼付薬
日経DI2017年8月号

2017/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2017年8月号 No.238

出題と解答 : 船見 正範
エムシー関東株式会社 ぺパーミント薬局(栃木県宇都宮市)

A1

(1)-(C)、(2)-(A)、(3)-(D)、(4)-(B)

 貼付薬は、消炎鎮痛や局所麻酔などの局所作用型と、喘息や狭心症の治療など、全身作用を期待して用いられる経皮吸収型(全身作用型)に大きく分けられる。経皮吸収型は、(1)薬剤の血中濃度を長時間一定にコントロールできる、(2)肝初回通過効果を受けない、(3)経口投与が困難な患者にも投与可能──といったメリットがある。一方で、接触部位の皮膚炎が起こりやすい、用量調整が難しいなどのデメリットもある。

 経皮吸収型貼付薬の構造には、粘着層(マトリックス層)に薬剤を含有させた「マトリックス型」と、薬物貯蔵層と放出制御膜で薬剤の放出速度を制御する「リザーバー型」がある。

 マトリックス型の方が製剤構造が単純であり、ホクナリンテープ(一般名ツロブテロール)やフランドルテープ(硝酸イソソルビド)、デュロテップMTパッチ(フェンタニル)など広く用いられている。設問にあるニュープロパッチ(ロチゴチン)、イクセロンパッチ(リバスチグミン)、ビソノテープ(ビソプロロール)もマトリックス型である。

 一方、リザーバー型は薬物貯蔵層と放出制御膜により、皮膚への薬物透過を長く一定にコントロールすることができるというメリットがあり、ニトロダームTTS(ニトログリセリン)などで採用されている。

 リザーバー型製剤を切断すると、薬物貯蔵層の切断面から薬剤が漏出し、皮膚刺激感などの局所的副作用や、急速・過量投与による全身的副作用が生じる可能性がある。そのため同製剤は、切断使用を控えるよう患者や家族に説明しなければならない。

 マトリックス型製剤は、マトリックス層の面積と薬剤放出量が比例するため、理論上は切断して使用できる場合が多い。しかし切断すると剥がれやすくなることが多く、適切な使用のためには患者に安易に勧めることは控えたい。また、有効成分の性状や製剤の特性を考慮すると、切断を避けるべき薬剤もある。

 例えば、パーキンソン病治療薬であるニュープロパッチは、有効成分が結晶化しやすいため、マトリックス層に再結晶を防止する工夫が施されている。そのため切断すると薬剤の結晶が析出し、血中濃度が低下する恐れがあるため、切って使用してはならない。

 高血圧治療薬であるビソノテープは、粘着層を1mmほど大きめに覆う表層がある。切断すると粘着層が露出し、衣類などに付着して、剥がれる原因になるなど取り扱いにくくなるため、推奨されていない。減量などやむを得ず切って使用する場合は、切断面を絆創膏などで覆うと良い。また同薬は光に不安定なため、切断した残りはアルミ袋に挟んでビニール袋に入れ暗所で室温保存し、1カ月以内に使用する。

 アルツハイマー型認知症治療薬であるリバスチグミン貼付薬(商品名イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)は、有効性や安全性が確認されていないなどの理由から、各製造販売元が2017年3月に切断使用しないよう「適正使用のお願い」を公表した。同文書では、貼付薬の剥がし忘れや複数枚同時使用による過量投与についても注意喚起している。

こんな服薬指導を

Illustration:山本(Shige)重也

 貼り薬を切って使うのは、剥がれやすくなったり、吸収される薬の量が変わってしまう可能性があるので、お勧めできません。新しくお渡しする貼り薬を使用してください。

 気持ち悪さ以外で、お困りの症状はありませんか。例えば、高齢の方の肌は乾燥しやすく、貼り薬で赤くなりやすいと言われています。保湿剤でスキンケアをするほか、同じ場所に貼らないことや、貼り替え時にゆっくりと剥がすことも大切です。

 剥がし忘れや、間違って2枚貼ったという報告もあるので注意してくださいね。貼り薬に直接日付を書いておくと間違えにくくなりますよ。

参考文献
1) 薬剤学 2016;76:162-6.
2) 『第十三改訂 調剤指針 増補版』(薬事日報社、2016)

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