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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)乾癬型薬疹を生じる生活習慣病の薬
日経DI2015年9月号

2015/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年9月号 No.215

出題と解答 :今泉 真知子
(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(1)アムロジン(一般名アムロジピンベシル酸塩)

 乾癬はその特有の皮膚症状として、鱗屑を伴う紅斑が主体とされ、痒みを伴うことが多い。特定の薬剤を服用することによって、乾癬と似た皮疹が誘発されたり、乾癬が増悪する場合があり、それらを乾癬型薬疹と呼ぶ。

 乾癬型薬疹の原因となる薬剤は幾つか考えられるが、中でも降圧薬による発症例が最も多いとされ、特にカルシウム拮抗薬とβ遮断薬が原因としてよく知られる1)。降圧薬では他に、ACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)でも発症例が報告されている。Dさんが服用している薬剤の中では、アムロジン(一般名アムロジピンベシル酸塩)が真っ先に疑われる。

 降圧薬以外には、インフリキシマブ(商品名レミケード他)やインターフェロンなどの生物学的製剤、炭酸リチウム(リーマス他)、テトラサイクリン系やペニシリン系の抗菌薬、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、抗結核薬のイソニアジド(イスコチン他)、糖尿病治療薬のメトホルミン塩酸塩(メトグルコ他)などが知られているが、他の薬疹ほどは発症しにくい1)

 発症機序に関してはよく分かっていない部分が多い。カルシウム拮抗薬による機序としては、表皮基底細胞内のカルシウム濃度が低下することで、環状アデノシン一リン酸(サイクリックAMP:cAMP)が減少し、cAMPによって抑制されていた角化細胞の増殖・分化が促進され、乾癬の誘発や悪化に至ると考えられている。

 β遮断薬では、角化細胞のβ受容体が遮断されることで表皮内エピネフリン感受性アデニル酸シクラーゼの活性が低下し、cAMPが減少することにより角化細胞の増殖・分化が促進されると考えられている2)

 こうした薬理作用のほか、乾癬の病因と考えられるT細胞の活性化が、薬剤アレルギーの形で誘発されている可能性もある。

 乾癬型薬疹発症までの投薬期間は2週間以内から数年まで様々だが、一般に他の薬疹とは異なり長期投与後に発症し、多くは数カ月~2年以内に発症するとされる2)。このため、直近で服用を始めた薬剤以外も原因として疑う必要がある。Dさんは内科で出されたいずれの薬剤も1年以上服用しているので、原因から安易に除外すべきではない。外用薬などによる治療で皮疹が軽快しない場合は、こうした乾癬型薬疹を疑うべきだろう。

 治療は、原因薬剤を中止した上でステロイドの外用薬や活性型ビタミンD3外用薬などを用いる。なお、降圧薬は他の系統に変更するのが基本である。

 ステロイドの外用薬は速効性、鎮痒作用、価格などの点で使いやすいが、長期連用による皮膚の萎縮などの副作用もある。一方、今回Dさんに処方された活性型ビタミンD3外用薬のカルシポトリオール(ドボネックス)は長期連用に適している。ただし、多量に使用すると高カルシウム血症を来す可能性があるため、1週間に使用する量は90gまでと決められている。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀たえこ

 乾癬はいまだ原因がはっきりしない皮膚の病気です。主に免疫に関係して症状が表れると考えられていますが、薬が原因で発症・悪化することがあります。原因となる薬は複数考えられますが、Dさんに処方されている薬の中では、アムロジンで発症例が多く、最も疑わしいと思います。ただ、これはあくまで可能性の話です。先生は内科の医師と相談されるとのことですから、もしかしたら次回、薬が変更になるかもしれません。まずは、乾癬型薬疹に効くとされているドボネックスを使って、様子を見てください。

参考文献
1)日本皮膚科学会雑誌 2008;118:2806-8.
2)日本医事新報 2012;4581:65-8.

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