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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A)イメンドとプロイメンドの違い
日経DI2015年9月号

2015/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年9月号 No.215

出題と解答:今泉 真知子
有限会社丈夫屋(川崎市高津区)

A1

(2)プロイメンドは内服が困難な場合にイメンドの代替として用いることができる
(3)いずれもコルチコステロイドおよび5HT3受容体拮抗薬の併用を原則とする

 外来化学療法の普及により、薬局で癌患者の処方箋を応需する機会も増えている。薬剤師が支持療法に関して理解しておくべきことは多い。

 化学療法時には副作用の管理が重要な課題となる。中でも悪心・嘔吐は身体的、精神的な負担になるだけでなく、食事摂取量の低下に伴い全身症状が悪化し、治療継続が難しくなる。そのため、制吐剤がしばしば用いられる。

 Iさんが点滴投与されている抗癌剤のシスプラチン(商品名ブリプラチン、ランダ他)は、切除不能進行・再発胃癌に対する化学療法によく用いられるが、吐き気の副作用が強い。日本癌治療学会の『制吐薬適正使用ガイドライン』では、高度催吐性リスクの薬剤に分類されている。

 高度催吐性リスクの薬剤を投与する際は、(1)アプレピタント(イメンド)またはホスアプレピタントメグルミン(プロイメンド)、(2)5HT3受容体拮抗薬、(3)デキサメタゾン(デカドロン他)─の3剤併用が推奨される。

 抗癌剤の投与で吐き気が生じるメカニズムは幾つかあり、その1つに、抗癌剤の投与によりサブスタンスPの分泌が亢進し、これが中枢神経系のニューロキニン(NK1)受容体に結合することで誘発される機序がある。

 アプレピタントはNK1受容体に選択的に結合し、中枢性嘔吐反応を抑制する。同薬には125mgカプセルと80mgカプセルがあり、通常、抗癌剤投与の60~90分前に125mgを、翌日と翌々日の2日間は80mgを1日1回、午前中に服用する。

 一方、Iさんに投与されたホスアプレピタントは、アプレピタントをリン酸化したプロドラッグである。静脈内投与後、体内の脱リン酸化酵素によって速やかにアプレピタントに代謝されて薬効を示す。同薬は150mgを抗癌剤投与の60分前に投与する。

 ホスアプレピタントは点滴静注製剤だが、抗癌剤の点滴時であれば静脈ルートも確保されているため使用しやすく、投与が1回で済むため患者の利便性が高い。また、服用を忘れたりする患者や、虚弱状態または悪心・嘔吐により経口摂取が困難な患者でも確実に投与が可能なのも利点である。

 ホスアプレピタント(150mg)の静脈投与は、アプレピタント(285mg)を3日に分けて内服したのと同等の制吐効果(非劣性)を示すことが、臨床試験で確認されている。剤形により投与量が異なるのにもかかわらず、効果が同等である理由は、経口カプセル剤のバイオアベイラビリティが低いことによる。125mgカプセルのバイオアベイラビリティは59%、80mgカプセルは67%であり、同じ全身循環量を達成するには注射薬よりも多く投与する必要がある。

 いずれの製剤も、原則としてコルチコステロイド(主にデキサメタゾン)と5HT3受容体拮抗薬を併用する。また、薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)3A4阻害作用があるため、デキサメタゾンなどの代謝が阻害される場合がある。このため、添付文書には、「コルチコステロイドを併用する際は相互作用を考慮してコルチコステロイドを適宜減量する」との記載があり、デキサメタゾンが減量となるケースも考えられることに留意しておきたい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 病院での点滴は朝から時間が掛かって大変でしたね。Iさんが病院で点滴されたプロイメンドという薬は、奥様が飲まれていたイメンドというカプセル剤を注射薬にしたものです。プロイメンドは、体内に入るとイメンドと全く同じ成分に変わって、吐き気を抑える作用を発揮します。

 イメンドは点滴の日だけでなく、翌日、翌々日も飲まなくてはなりませんが、点滴の場合は1回きりで同じ効果が得られるので、Iさんの手間が省けるという利点があります。また、内服が苦手な方もいらっしゃいますので、そういう方々にも使いやすいです。

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