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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)痛風患者が避けた方がよい鎮痛薬
日経DI2015年6月号

2015/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年6月号 No.212

出題と解答 :東風平 秀博
(田辺薬局株式会社[東京都中央区])

A1

アスピリン

A2

尿酸値が変動することによる痛風症状の悪化

 痛風は、高尿酸血症の患者に生じやすい疾患である。体の中に尿酸がたまり、それらが結晶化して関節内に析出し、痛みを生じる。

 痛風発作期には、アスピリン以外の非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が主に使用される。痛風に適応のあるNSAIDsには、インドメタシン、ナプロキセン(商品名ナイキサン)、オキサプロジン(アルボ)、プラノプロフェン(ニフラン他)などがあるが、他のNSAIDsが使用されることもある。

 今回、医師がYさんに、市販の鎮痛薬を飲まないよう指導した理由としては、アスピリンの摂取を避けさせることが考えられる。アスピリンは、常用量(1~2g)を服用すると、尿細管における尿酸の排泄を抑制して血清尿酸値を上昇させる。一方、大量(5~10g)に服用すると尿酸再吸収抑制作用を示し、尿酸値を低下させる1)。痛風発作時に血清尿酸値を変動させると発作が増悪しやすくなるため、痛風発作期にアスピリンを服用するのは避けるべきとされている。

 OTC薬(一般用医薬品、要指導医薬品)には、アスピリンを含有するものが多く、商品名だけでは判別しにくい。誤ってアスピリンを含有する鎮痛薬を購入してしまう可能性もあるため、市販の鎮痛薬の使用は避けた方がよい。

 なお、Yさんが話している「ロキソニンという名前の薬」は、OTC薬の「ロキソニンS」のことと思われる。ロキソニンSは医療用医薬品のロキソニン(一般名ロキソプロフェンナトリウム水和物)と有効成分や成分量、添加物などが同一であるため、医師から処方されたロキソニンがない場合に緊急避難的に使用することは可能である。

 また、医師はフェブキソスタット(商品名フェブリク)の服用における注意点として、痛みが消失してから使用する旨を記している。これは、尿酸降下薬であるフェブキソスタットを発作時に使用すると、尿酸値の低下をもたらして痛みが悪化する恐れがあるからである。

 日本痛風・核酸代謝学会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版』には、痛風の発作時は尿酸降下薬を投与せず、NSAIDsで発作の寛解を待つ必要があり、寛解約2週間後から尿酸降下薬を少量で開始し、徐々に用量を増加する旨が記載されている2)。これはフェブキソスタットだけでなく、アロプリノール(ザイロリック他)やベンズブロマロン(ユリノーム他)にもいえることである。ただし、継続的に服用している場合は発作中もそのままの用量を続ける。

 なお、これら尿酸降下薬の投与開始初期に、少量のコルヒチンを併用投与すると、痛風関節炎の発症を防止できる。コルヒチンは痛風発作の頓挫薬として知られているが、発作の前兆や初期段階では効果があるものの、痛風発作が完全に起きた状態では痛みを緩和する効果は期待できない。

こんな服薬指導を

イラスト:YAB

 痛風は、体内の尿酸が結晶化して、関節周辺の神経を刺激して痛みを生じる病気です。痛風の発作が起きた場合には痛み止めで症状を和らげるのですが、アスピリンという痛み止めの成分は、痛みを逆に悪化させたり長引かせてしまいます。アスピリンは市販の痛み止めに入っていることが多いので、先生は市販の薬を飲まないよう言われたのだと思います。

 ロキソニンという薬は、ドラッグストアではロキソニンSという名前で販売されていますが、今回Yさんが処方された薬と有効成分も成分量も同じです。ですので、もし発作時に痛み止めが手元にない場合は、ロキソニンSを購入して飲んでも大丈夫です。ただし、できるだけ早めに医療機関を受診することをお薦めします。

参考文献
1)高尿酸血症と痛風 1998;6:136-9.
2)日本痛風・核酸代謝学会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版』

※本クイズは、書籍『日経DIクイズベストセレクション STANDARD篇』からの再掲載です。

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