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薬歴未記載で薬局業界に波紋 ほか
日経DI2015年3月号

2015/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年3月号 No.209

薬歴未記載で薬局業界に波紋
ほぼ全ての保険薬局で自主点検を実施へ

 薬の重複投与を避け、副作用を回避する上で欠かせない薬剤服用歴(薬歴)の管理。薬剤師の重要な職務だが、その在り方に国民の厳しい目が注がれる事態になっている。

 発端は、ツルハホールディングス子会社のくすりの福太郎(千葉県鎌ケ谷市)で、大量の薬歴未記載があったと報じた朝日新聞の2月10日の記事だ。同社は報道を受けて会見を開き、2013年に薬歴の未入力に関する社内調査を実施し、13年3月時点において保険薬局69店舗中48店舗で、合計17万3515件の電子薬歴システムへの入力遅延を把握、13年8月までにほぼ入力を終えたと説明した。遅延の原因は「薬剤師の薬歴作成能力の個人差」(同社)だったという。

10日に会見したくすりの福太郎代表取締役社長の小川久哉氏(左)、専務の佐藤教明氏

 その後、15年1月に上記の社内調査の情報を入手した朝日新聞がくすりの福太郎に質問状を送り、これを受けて同社とツルハは改めて電子薬歴の入力状況について調査を開始。15年1月分の薬歴については全て入力したことを確認したが、それ以前に受け付けた処方箋については3月末までに調査結果をまとめる、としている。調査の結果、調剤報酬の不適切な請求が判明した場合は、請求に基づく調剤報酬を自主返納する予定だ。

 また、店舗当たりの薬剤師を増員して再発を防止するため、15年2月末までに10店舗を閉鎖することを決めた。閉鎖店舗の薬剤師は、薬歴の入力が遅れがちな店舗に配置する。薬剤師の能力に応じた薬歴作成のトレーニングも実施するという。

 薬歴記載の不備は、くすりの福太郎だけではなかった。朝日新聞は2月22日、イオン子会社で、関東を中心にHACドラッグなどを展開しているCFSコーポレーションでも、未記載の薬歴が「2013年6月末時点の社内調査で、20店で計7万8140件にのぼった」と報道。これを受けてCFSは薬歴の記入に遅れがあったと認めるお詫びを文書で公開した。

 イオンは、薬歴未記載に関する対策本部を2月22日に設置し、連結子会社15社、1127店舗で過去の薬歴管理状況を自主調査すると発表。2月末までに調査を終え、結果は厚生労働省に報告すると表明している。

厚労省も調査に乗り出す

 薬歴の入力遅延は、実は多くの薬局が抱える問題とも言われている。もし、未入力の薬歴があるにもかかわらず、薬剤服用歴管理指導料として調剤報酬を請求している薬局が多数あるとなれば、国民の批判は避けられない。日本薬剤師会会長の山本信夫氏は、2月21~22日に都内で開催された日薬臨時総会で、「薬歴管理に不備がある薬局は、会員であったとしても毅然とした態度で臨む」と語った。

 実態を把握するため、厚労省保険局医療課指導監査室は2月23日、日薬と日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会の3団体に対し、会員の全保険薬局に自主点検の実施を促すよう依頼。これらの団体は会員に対し、自主点検を求めている。各団体からの依頼が重複した薬局は、その全ての団体に回答しなければならない。

 各薬局における自主点検の内容は、14年に薬歴の入力が遅れた件数を月ごとにまとめる、というものだ(表1)。ただし、レセプト請求時までに薬歴の作成が全て完了していた場合には、調査票の提出は不要だ。日薬の会員が従事する薬局に関しては、各都道府県の薬剤師会ごとに調査結果を取りまとめ、3月20日までにメールで提出することになっている。日薬はそれらの結果をまとめて厚労省に報告する。これらの調査により、ほぼ全ての保険薬局における薬歴記載状況が近く明らかになる。

表1 薬歴入力に関する自主点検で厚労省に報告する内容

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新薬14成分26品目が薬価収載
新機序PPIタケキャブ、6成分目のSGLT2阻害薬ジャディアンスが登場

 厚労省は2月24日、新薬14成分26品目を薬価収載した。

 内用薬は5成分9品目。抗潰瘍薬タケキャブ(一般名ボノプラザンフマル酸塩)は、カリウムイオンに競合的にプロトンポンプを阻害して胃酸分泌を抑制する。2型糖尿病治療薬ジャディアンス(エンパグリフロジン)は国内6成分目となるSGLT2阻害薬だ。パリエット錠5mgは効能・効果の追加に伴い承認された剤形追加医薬品で、投薬期間制限は適用されない。

 外用薬は2成分2品目。ベピオ(過酸化ベンゾイル)は尋常性ざ瘡(にきび)を適応としている。

表2 2月24日に薬価収載された主な新医薬品

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一部一包化不可でも
他が算定要件満たせば
一包化加算は可能

 薬局における一包化加算の際の疑問に対する見解を厚労省が示した。同省は2月3日、診療報酬の算定に関する疑義解釈資料を発表した。

 調剤報酬関係では、処方された薬剤を一包化する際に、吸湿性が高いなどの理由で一部を一包化せずに交付した場合でも、その薬剤を除いて一包化した部分が算定要件を満たしていれば加算を算定できるとした。

 吸湿性が高い、あるいは遮光が必要など、一包化不可とされる薬剤を一包化しない場合は、一包化をしなかった薬剤とその理由を調剤録などに記録しておくことが望ましいという。


検体測定室の自己点検
15%でガイドライン違反
衝立の設置や穿刺器具で

 厚労省は、2月18日、検体測定室の自己点検結果を取りまとめ、公表した。

 自己点検を依頼した検体測定室、691件のうち、454件(65.7%)が自己点検を実施。うち68件(15%)でガイドラインを順守していなかった。ガイドラインに従っていなかった例としては、「衝立の設置が不十分」が36件、「医療機関に協力依頼を行っていない」が7件、「ディスポであるが、針とその周辺部分を交換する穿刺器具を使用している」が6件あった。これらの検体測定室は個別の指導を受け、全て改善済みだという。この調査は、14年10月に厚労省が全国の検体測定室に自己点検を呼び掛けていたもの。


保険薬局に対する個別指導は
前年度比3.3%増の1437件
11年度から増加が続く

 厚労省が1月30日に公表した「2013年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」によると、13年度の指導・監査の件数は、個別指導1437件、新規個別指導2509件、集団的個別指導3967件、監査10件、取消1件だった。個別指導を受けた薬剤師は前年度比15%減の1905人だった。

 個別指導の件数は前年度比46件(3.3%)増えた。個別指導は、10年度から11年度にかけて減少したが、11年度以降は件数が増加している。

 保険指定の取り消しを受けたのは、架空請求をした後藤薬局下郡店(大分市)の1件。返還額は152万9000円。


DI担当者対象の調査
添付文書の記載内容で
多くの問題点が浮き彫りに

 用字・用語の不統一、臨床現場の使用実態や海外のエビデンスとの乖離、表現があいまいで判断しにくい─。日本医薬品情報学会(JASDI)添付文書検討ワーキンググループが、医療機関や製薬会社の医薬品情報(DI)担当者を対象に実施したアンケートの結果、添付文書の記載内容の問題点が浮かび上がってきた。

 1月25日に東京で開催されたJASDIフォーラムで発表された。この調査は、添付文書の記載項目ごとに、DI担当者が感じる問題点を自由に記述する形式で実施した。同ワーキンググループは今後も結果を整理し、改善策を検討していく。


効果の表示に根拠なし
ベランダなどに吊り下げる
虫よけ販売4社に措置命令

 消費者庁は2月20日、吊り下げて使用する虫よけ商品を販売しているアース製薬、興和、大日本除虫菊、フマキラーの4社に対し、商品パッケージの表示に合理的な根拠がないとして、景品表示法第6条の規定に基づく措置命令を行った。各社は商品パッケージの表示を変更するなどの対応を取る。

 これらの商品はそれぞれ、ベランダなどに吊り下げるだけで、商品が放出する薬剤が、ある期間、一定範囲にユスリカとチョウバエを寄せ付けないと表示していた。消費者庁は裏付けとなる資料を求め、4社はこれを提出したが、同庁はこれらを合理的な根拠を示すものと認めなかった。


食品の機能性表示
新制度の施行を控えシンポ
科学的根拠をどう示す

 医療経済研究・社会保険福祉協会(社福協)は2月10日、「食品の新たな機能性表示について~ガイドラインを踏まえて~」を都内で開催した。今年4月から食品の新たな機能性表示制度がスタートすることを受け、機能性表示を行うために必要な科学的根拠の示し方について、3人の演者が講演を行った。

 新制度が機能性表示の要件の1つとして挙げている、食品の機能性のシステマティック・レビューは、研究や試験の困難さから、実効性に疑問符を付ける意見が演者から出された。また、消費者が新制度を理解した上で利用できるように、相談窓口の開設も提案された。


質の高い在宅医療へ
学会による認定制度が発足
17人を認定

 日本在宅薬学会は2月1日、日本初の「在宅療養支援認定薬剤師」として17人を認定した。同学会の在宅療養支援認定薬剤師制度は、在宅医療に関する知識、技能、態度を習得し、質の高い医療を提供することを目的として、13年4月にスタート。この制度は「特定領域認定制度」として薬剤師認定制度認証機構の認証を受けている。

 認定の申請には、3年以上の薬剤師実務経験、同学会主催の学術大会や講習会への参加・受講歴などが必要。研修講座を受講して所定の単位を取得後、在宅業務の事例を5例報告し、筆記・面接試験に合格すると認定される。


16年度採用を占う
薬学部5年生の就職意識調査
病医院と薬局の人気拮抗

 大手薬剤師国家試験予備校の薬学ゼミナール傘下の薬ゼミトータルラーニング事業部(東京都千代田区)は、16年度採用の対象である薬学5年生946人に就職意識調査を実施し、結果を発表した。

 希望する進路を複数回答で聞いたところ、トップは「病院・クリニック」の60.1%で、2位の「調剤薬局」55.0%とほぼ拮抗。そのほか、「ドラッグストア」16.8%、「製薬業界(MR以外)」8.8%、「治験(CRO・SMO)」6.7%、「製薬業界(MR)」6.1%、「進学」3.2%、「その他」6.3%だった。調査は14年12月29日から15年1月6日にかけて行い、回収率は95.8%だった。


ココカラファインと日本郵便
ドラッグストア通販サイト開設
郵便局でOTC薬の受け取りも

 日本郵便とココカラファインは2月23日、医薬品などの通販事業を連携して行うと発表した。同日、「郵便局のネットショップ」にドラッグストア専門ページを開設した。ドラッグストア専門ページで販売した商品は当面、ゆうパックで配達するが、将来は郵便局での受け取りも実施する予定。

 同専用ページの取り扱い商品と商品数は、指定第2類・第2類・第3類医薬品、医薬部外品、健康食品、化粧品など約7000品目。薬についての問い合わせはココカラファインネットが受け付け、週末・祝日を含めて常駐する薬剤師が対応する。


新薬DIピックアップ
ベピオゲル2.5%《2015年2月24日薬価収載》
欧米で標準のにきび治療薬が登場

 15年2月24日、尋常性ざ瘡治療薬の過酸化ベンゾイル(商品名ベピオゲル2.5%)が薬価収載された。1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布する。

 一般的に「にきび」と呼ばれる尋常性ざ瘡は、面皰を初発疹として、毛孔、脂腺に一致して発症する慢性炎症性疾患である。毛包漏斗部の角化異常、毛包内への皮脂の貯留、アクネ菌の増殖による炎症を病因とする。

 尋常性ざ瘡の治療としては、抗炎症作用を有するアダパレン(ディフェリンゲル0.1%)と、外用および内服抗菌薬の併用療法などが行われている。しかし海外では抗菌薬の長期使用による薬剤耐性アクネ菌の出現が大きな問題となっており、欧米などでは、耐性菌の懸念がない過酸化ベンゾイル含有製剤の使用が治療ガイドラインで推奨され、標準治療となっている。

 過酸化ベンゾイルは、分解により生成するフリーラジカルが、アクネ菌、各種のブドウ球菌に対し抗菌作用を発揮する。また、過酸化ベンゾイルは角質細胞同士の結合を緩めて角層剥離を促し、角層肥厚を改善する作用もある。

 日本皮膚科学会は、耐性菌出現の抑制を狙って、過酸化ベンゾイルの早期承認を求める要望書を10年に厚労省へ提出した。海外での製剤と同じ2.5%濃度の過酸化ベンゾイルゲル製剤について国内臨床試験(プラセボとの二重盲検比較試験および52週間の長期投与試験)が行われ、有効性と安全性が確認された。

 国内臨床試験では43.7%に副作用が認められている。主な副作用は皮膚剥脱(18.6%)、適用部位刺激感(14.0%)、適用部位紅斑(13.8%)、適用部位乾燥(7.4%)などだった。患者には、過酸化ベンゾイルと他の外用薬を併用すると皮膚刺激症状が強まる恐れがあることを伝える必要がある。また、過酸化ベンゾイルには漂白作用があるため、塗布時に髪、衣服などに付着させないように指導する。

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