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OTCトレンドウォッチ
点眼薬市場
日経DI2015年3月号

2015/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年3月号 No.209

 OTCの点眼薬の販売金額は年間600億円以上と推計される。例年、スギ花粉の飛散量によってその年の販売規模は影響を受けるが、OTC薬の中では比較的安定した売り上げを保っているカテゴリーである(図1)。

図1 点眼薬の販売額の年次推移(SDIによる)

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 点眼薬市場はタイプ別に特徴がある(図2)。花粉症患者向けのアレルギー用は、その年の花粉飛散量の影響が大きい。スイッチOTC成分配合の商品は比較的高価格帯だが、効き目を重視する需要を取り込んでいる。同様に洗眼タイプの市場も花粉飛散量に大きく左右される。一方、ドライアイ対策やコンタクトレンズ装用時に使用される涙液タイプは近年、販売が堅調だ。スマートフォンなど電子機器のモニターを注視する機会が多くなり、ドライアイ症状を自覚する生活者が増えていると考えられる。また、ブルーライトの弊害が着目され、最近では「デジタル疲れ」対策を訴求した商品も好調である。

図2 点眼薬の主な用途別の販売額年次推移(SDIによる)

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 中高年用の目薬は、多くの成分を配合し、効き目を訴求した高価格帯の製品が販売を伸ばしている。このほか女性向けに容器を工夫したものなど、多様な付加価値を付けた製品が店頭に並ぶ。これらによって、生活者の需要が喚起され、市場の活性化につながっている。(林)

林 芳行
Yoshiyuki Hayashi
株式会社インテージ SDIインデックスマネージャー
同社のSDI(全国一般用医薬品パネル調査)をはじめとした、OTC薬の市場動向について分析している。市場調査・マーケティングリサーチのパイオニアであるインテージで、OTC薬を含むヘルスケアを担当。
SDI(全国一般用医薬品パネル調査):全国3211店の薬局・店舗販売業、ドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンターを対象に、OTC薬をはじめとしたヘルスケア関連のPOSデータを収集し、情報提供するインテージのサービス。


注目の点眼薬

 点眼薬には、疲れ目、ドライアイ、充血などの症状別に様々な商品があるが、最近、多くの成分を配合し、複数の症状に対応する高価格帯の点眼薬に注目が集まっている。

ロートV11

ロート製薬 第2類医薬品

 ロートV11(ロート製薬、第2類医薬品)は、コリンエステラーゼ阻害作用により毛様体筋の調節機能を高めるネオスチグミンメチル硫酸塩など、疲れ目を改善する6成分に加え、抗炎症成分3種(グリチルリチン酸二カリウム、硫酸亜鉛水和物、アラントイン)、充血・痒みを抑える2成分(クロルフェニラミンマレイン酸塩、塩酸テトラヒドロゾリン)の計11成分を配合している。効能効果は「目の疲れ、結膜充血、目のかすみ、痒み、眼病予防、眼瞼炎、紫外線その他の光線による眼炎(雪目など)、ハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感」と、非常に幅広い。清涼感が比較的強く、すっきりとした差し心地である。スーッとする目薬が苦手な人向けにマイルドタイプもある。

 また、スマイル40プレミアム(ライオン、第2類医薬品)など中高年向けをうたった高価格帯の商品もある。

花粉症の季節の点眼薬

 花粉が飛散するこの季節、需要が高まるのがアレルギー症状を緩和する点眼薬である。

ロートアルガードクリアブロックEX

ロート製薬 第2類医薬品

 ロートアルガードクリアブロックEX(ロート製薬、第2類医薬品)は、ケミカルメディエーター遊離抑制成分のクロモグリク酸ナトリウム、抗ヒスタミン成分のクロルフェニラミンマレイン酸塩、炎症を鎮めるプラノプロフェンのほか、角膜を保護するコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを含む。

 7歳以上から使用でき、用法用量は1回1~2滴、1日4回点眼である。妊婦や授乳婦の使用は勧められない。また、点鼻薬との併用による眠気に注意する必要がある。2日間、使用しても症状が改善しない場合は受診するよう指導する。コンタクトレンズ装着中の人には、一旦外して点眼し、5分ぐらいたってから装着するようにアドバイスする。

 ロートV11、ロートアルガードともに点眼容器には、斜めや横からの角度でも点眼ができる「フリーアングルノズル」が採用されており、容器の傾きを気にせずに点眼できる。

 また同シリーズには、医療用成分のトラニラスト(商品名トラメラス、リザベン他)を配合したロートアルガードプレテクトが要指導医薬品として2014年1月に発売されている。

香水のような容器デザイン

サンテボーティエ

参天製薬 第2類医薬品

 サンテボーティエ(参天製薬、第2類医薬品)は、香水のような容器デザインで話題の点眼薬である。「瞳のエイジングに着目」をコンセプトに、40代前後の女性を意識した商品で、疲れ目向けの点眼薬の中では比較的高額である。

 代謝を促進させると同時に製剤の安定化や吸収を高めるタウリン、神経機能や調節機能に関係するビタミンB12、血管収縮作用のある塩酸テトラヒドロゾリン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、クロルフェニラミンマレイン酸塩を、一般用眼科用薬製造販売承認基準の最大濃度で配合している。

 容器だけでなく、点眼液には珍しく、ほのかなローズの香りを付けている。ビタミンB12により薬液がピンク色を呈しているため、衣類などに着色した場合にはすぐに洗い流すように伝えておく。

三上 彰貴子
Akiko Mikami
株式会社A.M.C 代表取締役社長、薬剤師
製薬会社勤務後、コンサルティング会社勤務を経て2005年から現職。医療分野のコンサルティングを行う傍ら、OTC薬に関する寄稿および講師の活動も行う。

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