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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)掌蹠膿疱症に出されたビタミンCと整腸薬
日経DI2015年3月号

2015/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年3月号 No.209

出題と解答:香西 佑美、笹嶋 勝

(日本メディカルシステム株式会社[東京都中央区])

A1

掌蹠膿疱症における皮膚症状や関節炎の症状を和らげるため。

A2

ビオチンの体内吸収性および症状改善効果を補強するため。

 掌蹠膿疱症とは、手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に無菌性の膿疱を主体とした皮疹が多発する難治性の疾患で、日常診療でもよく遭遇する。皮疹は周期的に寛解・増悪を繰り返し、進行すると鱗屑と紅斑を伴う。患者の10~30%程度で、鎖骨や胸部などの関節痛を生じる(掌蹠膿疱症性骨関節炎)1)

 主な危険因子としては喫煙、扁桃病巣感染・歯性病巣感染、金属アレルギーなどが考えられており、原因として免疫異常が推測されているが、曖昧な部分も多い。治療は対症療法が中心であり、ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬が主に使用される。

 今回Aさんに新たに処方されたビオチンは、ビタミンHと呼ばれることもある成分であり、糖や脂質の代謝において補酵素として機能する。ビオチンは掌蹠膿疱症に伴う皮膚や関節炎の症状改善のためにしばしば処方され、ビオチン療法として広く知られている。ビオチン療法ではビタミンCおよび酪酸菌が併用される。この処方により掌蹠膿疱症性骨関節炎の症状が改善したとの症例が幾つか報告されており、これらはビオチン療法時のセット処方として定着しているとみられる。

 ビオチン療法の提唱者として知られる前橋賢氏の著書2)によると、ビオチンは免疫機能を改善することで掌蹠膿疱症を改善するとされる。掌蹠膿疱症患者においてビオチン欠乏が見られたこと、およびビオチン欠乏ラットで免疫能異常が発症したことなどから、掌蹠膿疱症患者へのビオチン補充投与が開始されるようになった経緯がある。

 ビオチンと同時に処方される酪酸菌(宮入菌、商品名ミヤBM)は、ビオチンの体内吸収性を高めるために投与される。前出の前橋氏の著書によると、腸内では乳酸菌によりビオチンが消費されてしまうため、酪酸菌を投与することでそれを防いでいるとのことである。その根拠として、ビオチン投与患者に酪酸菌を追加投与することにより、体内のビオチン濃度が増加したことがデータとともに記載されている。また、ビタミンCは患者の免疫機能を正常化するのに必要であり、ビオチン投与中の患者に追加することでビオチンによる免疫機能の改善がより促進されたとの記述があるが、データを含めた詳細な記載はない。

 ビオチン療法の掌蹠膿疱症に対する有効率は15%以下ともいわれており1)、その効果に関するエビデンスは極めて乏しいとの指摘もある3)が、皮膚症状のみならず関節痛にも効果があるとされていることから、実臨床ではよく用いられる。

 ビオチン療法は即効性に乏しく、年単位の服用が必要なケースも多いようである。また、一部の抗てんかん薬の服用、および生卵の食べ過ぎ(卵白中のアビジンがビオチンと強く結合する)により、ビオチンの吸収が阻害されることが知られているため、注意が必要である。

 そのほか、患者の約80%が喫煙者とのデータもあり、喫煙が掌蹠膿疱症に何らかの影響を与えている可能性がある。このため、患者には禁煙を勧めることも必要であろう。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀たえこ

 今回追加されたビオチンという成分はビタミンの一種で、掌蹠膿疱症の皮膚や関節の症状に効果があるといわれています。また、整腸剤のミヤBM錠は腸内細菌のバランスを整える働きがあり、ビタミンCのシナール配合錠と一緒に服用することで、ビオチンの効果を高めるとされています。

 生卵をたくさん食べるとビオチンが腸から吸収されにくくなってしまいますので、控えてください。加熱した卵であれば問題ありません。また、この病気は喫煙が影響しているといわれていますので、禁煙をお勧めします。

参考文献
1)皮膚臨床2010;52:1499-1505.
2)前橋賢『信じてもらうための挑戦―掌蹠膿疱症は「治る」病気です』(近代文芸社、2008)
3)皮膚臨床2010;52:1537-41.

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