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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A)シロップ剤の混合を要望する母親
日経DI2015年3月号

2015/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年3月号 No.209

出題と解答:今泉 真知子
(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(3)ゲル状になる。

A2

(2)アスベリンは懸濁型シロップ、レフトーゼは溶解型シロップである。

 シロップ剤は甘みのある製剤で、乳幼児に対する処方でしばしば用いられる。このため、保護者から様々な質問や要望を受けることが多い。

 液体のシロップ剤は溶解型シロップ、懸濁型シロップなどに分類される。有効成分が水溶性の場合には溶解型シロップにできるが、水に難溶なものは懸濁化剤を加えて懸濁型シロップとしている。懸濁型シロップは出荷時の状態が最も安定であり、希釈には注意が必要で、他剤と配合すると懸濁性が損なわれる可能性がある。なお、固体のシロップ剤であるドライシロップは、水溶液の状態で不安定な有効成分に用いられる剤形である。小児用抗菌薬はドライシロップが多い。

 今回Tちゃんに処方されている2種類の薬剤はそれぞれ種類が異なるシロップ剤である。アスベリン(一般名チペピジンヒベンズ酸塩)は懸濁型シロップ、レフトーゼ(リゾチーム塩酸塩)は溶解型シロップに分類される。アスベリンとレフトーゼは混合するとゲル状になることが知られている。従って、母親の求めに応じてこれらを1本の投薬瓶にまとめることはできない。

 Tちゃんには前回、溶解型シロップのトランサミンシロップ(トラネキサム酸)が処方されていた。トランサミンはレフトーゼと混合しても配合変化を起こさないとされるため、1つの投薬瓶に混合して交付されたのであろう。

 アスベリンとレフトーゼの混合がなぜゲル化につながるのかは不明だが、原因として考えられるのは2つ。まず、pHの違いがある。pHの大きく異なる製剤を混合すると、配合変化を起こす可能性が高まるとされている。アスベリンのpHは4.3~5.5で、レフトーゼのpHは3.5であり、混合により何らかの影響が出るのかもしれない。

 もう1つは、添加剤の影響である。アスベリンには防腐効果のある安息香酸ナトリウムなどが、レフトーゼにはパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが配合されており、保存性を高めている。ほとんどのシロップ剤に使用されているこのような添加剤が、配合変化の原因となっている可能性もある。ちなみに、シロップ剤に配合される添加剤で代表的なものとしては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル類、デヒドロ酢酸ナトリウムなどが挙げられる。

 アスベリンとレフトーゼの混合で見られるゲル化以外にも、液状のシロップ剤では多様な配合変化が生じる。懸濁型では再分散性不良、すなわち沈殿や分離を生じ、振っても元に戻らなくなる場合が多いとされる。溶解型では化学反応を起こして変質したり、沈殿を生じたりするケースが多いといわれている。

 シロップ剤は種類が多い上、後発品では添加剤が先発品と異なる場合がある。そのため、有効成分が同じ薬でも、後発品では配合変化が先発品と異なることもあり得る。さらに、配合変化が起きると考えられる組み合わせでも、短期で使い切ることが可能ならば混合しても問題ないと判断できる場合がある。配合変化による問題には、こまめにメーカーに確認するなどして、対処できるようにしておきたい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 今回処方された2種類のお薬はいずれもシロップで、お子さんでも飲みやすいように工夫されています。ただシロップの薬は、混ぜると分離したり、固まったりしてしまう組み合わせがあります。今回処方されたアスベリンとレフトーゼのシロップは、混ぜるとゲル状になるといわれているため、一瓶にまとめることができません。

 液体のお薬をそれぞれ量らなければならなくなって、手間が増えて申し訳ありません。ただ、飲む直前に混ぜるぶんには問題ありませんので、飲ませる時にはその都度必要な量を混ぜてください。もちろん、別にして飲ませても構いません。

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