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3分で伝える 重大な副作用
間質性肺炎
日経DI2015年3月号

2015/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年3月号 No.209

執筆:椿井 朋(金城学院大学薬学部助教)
監修:網岡克雄(金城学院大学薬学部医療薬学教授)、佐藤信範(千葉大学大学院薬学研究院臨床教育教授)

本連載は、厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」を基に執筆したものです。頻度としてはまれなものの、生命に危険を及ぼしたり後遺障害を残すことがある「重大な副作用」について、患者にどう注意喚起を行えばよいかを解説します。


 薬剤性肺障害で最も頻度が高いのが間質性肺炎である。間質性肺炎では肺胞壁や間質が炎症を生じ、線維化を起こす。その結果、肺胞壁が厚く硬くなり、ガス交換がしにくくなる。

 抗癌剤のような細胞障害性の薬剤により肺の細胞自体が障害を受けて生じる場合は、薬剤を使用してから発症するまでの期間が数週間から数年と慢性的な経過をたどる。一方、薬剤に対する免疫反応が原因と考えられるものは、薬剤の使用開始後1~2週間程度と、早期に発症する。抗癌剤でも使用開始直後に発症する場合もある。

推定原因医薬品

 添付文書に副作用として間質性肺炎が記載されている主な薬剤を表1に挙げる。間質性肺炎は、様々な医薬品が原因となるが、代表的なものには、抗癌剤、抗リウマチ薬、インターフェロン製剤、漢方薬(小柴胡湯など)、鎮痛薬、抗菌薬、抗不整脈薬(アミオダロンなど)、市販の総合感冒薬、サプリメントがある。

表1 添付文書の「重大な副作用」の項に「間質性肺炎」が記載されている主な医薬品
(作成:千葉大学薬学部臨床教育研究室 中村昇平氏、監修:同大学院薬学研究院臨床教育助教 櫻田大也氏。編集部で一部改変)

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表1は一部を抜粋して掲載しています。表全体はDI Online(http://di.nikkeibp.co.jp)からダウンロードできます。

初期症状
◯息切れや息苦しさ
◯空咳(乾いた咳)
◯急な発熱(ない場合もある)

 自覚症状は息切れ、空咳、発熱などで、呼吸困難が強いときは呼吸数が増加する(頻呼吸)。検査所見では、経皮的動脈血酸素飽和度の低下、白血球数(特に好酸球)の増加、乳酸脱水素酵素(LDH)、C反応性蛋白質(CRP)の上昇、肝機能障害を生じる。胸部聴診ではラ音(捻髪音)を聴取する。肺の画像検査では、すりガラス影、浸潤影、蜂巣肺などの病変を認める。

好発時期・好発患者

 患者側のリスク因子としては、年齢60歳以上、肺病変(特に間質性肺炎、肺線維症の既往)、肺手術後、呼吸機能の低下、高濃度酸素の投与、肺への放射線照射、抗癌剤の多剤併用療法、腎障害などが知られている。

 投与量と間質性肺炎発症との関連性が示されている薬剤も幾つか存在する。例えば、ブレオマイシンは全投与量450~500mg/m2以上、アミオダロンでは400mg/日以上がリスク因子となる。ただし、免疫反応が関与する間質性肺炎(薬剤の使用開始後1~2週間程度で発症)の予測は難しい。

対応方法

 第一に、原因と考えられる薬剤を中止する。急速に増悪する場合があるため、医療機関を速やかに受診するよう勧める。治療継続が必要な場合は、薬剤性肺障害リスクの低い薬剤に変更する。抗癌剤治療は、肺障害が改善するまで再開すべきではない。

 治療は、中等症に対しては、プレドニゾロン換算で0.5~1.0mg/kg/日を2~4週間投与し、漸減する。急速に増悪する場合や重症例には、メチルプレドニゾロン500~1000mg/日を3日間投与するパルス療法を実施し、プレドニゾロン換算で0.5~1.0mg/kg/日をしばらく継続したのちに漸減する。

◆薬剤師へのアドバイス◆

 間質性肺炎は、栄養食品やサプリメント、市販のかぜ薬などを含め、全ての薬剤で発症する可能性がある。また、薬剤投与中だけでなく、投与終了後にも発症することがある。場合によっては死亡する可能性もあることから、間質性肺炎のリスク因子を複数持つ患者は特に注意が必要である。

 息切れや空咳などの自覚症状(初期症状)が表れた場合は、速やかに医療機関を受診させる。間質性肺炎の診断では、薬剤の開始や変更の時期、投与量、期間などの情報が有用となるので、患者にはお薬手帳を持参するように伝える。

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