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薬局なんでも相談室2
相談室2:能力不足で解雇できるか
日経DI2015年3月号

2015/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年23月号 No.209

 ご相談の件、結論から申しますと、能力不足を理由とした解雇はできないと考えられます。解雇したとしても無効になる可能性が高いでしょう。

 最初に、解雇について整理しましょう。解雇とは、使用者(会社のこと)側からの一方的な労働契約終了の意思表示のことをいいます。会社側から一方的になされるため、労働者保護の観点から、労働契約法をはじめ、労働基準法や男女雇用機会均等法などの様々な法律により厳しく制限されています。

 使用者はまず、就業規則と労働契約書(労働条件通知書)に、どんな時に解雇するかをあらかじめ示し、労働者と合意しておく必要があります。ただし、就業規則や労働契約書に明示されていたとしても、客観的に合理的な理由があり、相当性があるものでなければ、その解雇は無効(労働契約法第16条)となります。なお、労働契約法における「客観的に合理的な理由」とは、(1)解雇理由が事実であり、(2)その事実が認識可能であり、(3)就業規則に該当する解雇事由である─です。

 さて、使用者側が主張する「能力不足」は、一般に多くが主観によるものとみなされます。ご相談にある「患者と話ができない、同僚とコミュニケーションが取れない」というのも、それのみでは直ちに客観性は認められないでしょう。

 では、使用者はどうすればよいかというと、その薬剤師の能力が不足しているのであれば、まず能力向上を会社が支援すること、そしてその過程を記録しておくことです。口頭で注意するだけでなく、面談で改善点について話し合う、店舗管理者などが教育指導する、必要な研修を会社負担で受講させるなど、会社として対策を講じ、日報のような形で記録しておくとよいでしょう。または、配置転換で業務や職場環境を変えて働いてもらうことも考えられます。

 いずれにせよ、解雇というのは最終手段で、簡単にはできません。係争になった時には、使用者が労働者の解雇を回避するためにどのような対応を取ったかが重視されます。薬局の経営者として、薬剤師の能力向上のためにできることはないか、今一度検討してみてはいかがでしょうか。

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