DI Onlineのロゴ画像

調剤報酬請求の落とし穴
一包化加算の査定例 自家製剤加算の併算定漏れも
日経DI2015年2月号

2015/02/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年2月号 No.208

水口錠二●Mizuguchi Jyoji
事務職員として医療機関に勤務後、独立して医療コンサルタントとなる。一般社団法人日本医療報酬調査会理事長として、医療機関や薬局の経営コンサルティング、レセプト指導、査定対策などを行う。池坊短期大学文化芸術学科教授として診療報酬、保険制度、関連法規などの講義も受け持つ。

 調剤報酬請求時に査定されたケースとして、前回は自家製剤加算の査定事例を紹介した。今回は一包化加算の事例を紹介する。

 一包化加算は2014年4月の調剤報酬改定で点数が引き上げられたが、それと関係してか、昨今の調剤報酬請求において査定されることが増えたとの声が聞かれる。薬局では、算定の注意点を十分に理解していただきたい。

 なお、一包化加算は他の加算と重複算定できない点が注意点として挙げられるが、その要件を詳しく知っておかないと、査定だけでなく、逆に算定漏れになることもある。審査機関から送られてくる増減点連絡書では、実質的にほぼ減点項目のみ通知され、算定漏れが指摘されることはまれである。このため、薬局では算定漏れに気付かないことが多く、それが長年に渡って続いているケースも見受けられるので、算定要件をしっかり確認しておきたい。

審査事例
一包化加算の査定(1)

 この処方箋において、患者から一包化の要望があった。薬剤師が処方医に確認したところ、了承を得たため一包化したが、一包化加算の点数は審査で査定されてしまった。

 一包化加算には表1のような規定がある。特に注意が必要な部分を下線で示した。この事例の査定理由としては幾つか考えられるが、よくあるのが「セ」や「タ」に該当するような初歩的なミスである。

表1 調剤報酬における一包化加算の規定(抜粋)

画像のタップで拡大表示

 「セ」では、治療上の必要性が認められる場合にのみ加算が可能なことが示されており、単に患者が希望しただけでは、仮に医師が了承したとしても、加算が認められないことがある。例えば、高齢者、関節リウマチ患者、パーキンソン病患者などであれば認められるケースも多いが、患者が40代、50代など比較的若い場合は査定される可能性が高くなる。

 なお、治療上の必要性が認められないが患者の希望で一包化する場合には、一包化に要した実費を徴収することが認められている。

 また、「タ」にもあるように、理由の記載漏れもよくある。査定を防ぐには、一包化を要すると判断した理由を、できるだけ詳細に記載するよう努めたい。

審査事例
一包化加算の査定(2)

 この処方内容を全て一包化した場合には、査定される可能性が高い。その理由として、プラザキサ(一般名ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩)には吸湿性があり、一包化に適さない薬剤であることが挙げられる。表1にはそのような記載はないが、これは薬学的に不適切な調剤行為に該当すると考えられ、査定対象となってしまう。

 プラザキサと同様に吸湿性が高く、一包化の際に注意が必要な薬剤としては、デパケン(バルプロ酸ナトリウム)などが有名である。また、口腔内崩壊錠(OD錠)も製品によっては一包化に適さないものがある。

 ただし、これらの薬剤を一包化した場合に必ずしも査定されるわけではなく、都道府県によっては算定可能な場合もあるので、地域の事情に則した対応が必要となる。

 また、このような処方箋では、プラザキサ以外の薬剤を一包化し、プラザキサはPTPシートのまま一包化の薬包にテープなどで留めて交付する方法が考えられる。そうすることで算定できることもあるようだが、この場合の算定可否の判断にも、地域によってばらつきがあるようである。

審査事例
一包化加算の算定漏れ

 上記のような処方において、処方箋(1)のバナン(セフポドキシムプロキセチル)と、(2)のレフトーゼ(リゾチーム塩酸塩)とロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)を一包化し、(3)のサイレース(フルニトラゼパム)は、患者が自己調節可能なように一包化しないよう指示されていると見られる。

 この場合、サイレースは就寝前服用であり、(1)(2)とは服用時点が重複しないため、一包化加算とは関係がない。従って、全ての処方を一包化していなくとも一包化加算が算定可能である。

 なお、サイレースを割錠すると自家製剤加算の対象となる。この場合、表1の「テ」にあるように、一包化加算を算定すると自家製剤加算は算定できないと考え、自家製剤加算を算定しないで請求してしまいやすい。

 しかし実際には、自家製剤加算の算定は可能である。その理由は、(3)が一包化加算と無関係の剤だからである。自家製剤加算や計量混合加算は一調剤行為に対して算定する加算点数である。従って、一包化と無関係の剤については、自家製剤加算および計量混合加算を一包化加算と同時に算定できるのである。

 なお、このケースと混同しやすいのが嚥下困難者用製剤加算の算定である。一包化加算と嚥下困難者用製剤加算は表1の「サ」にあるように、いずれか片方のみの算定しかできない。例えば、上記処方箋で錠剤を粉砕して散剤にしても、一包化加算と嚥下困難者用製剤加算は同時に算定できない。理由は、嚥下困難者用製剤加算も一包化加算も、ともに処方箋中の全ての剤に関して行う技術を評価した点数だからである。

 以上、一包化加算の算定における主な注意点を解説した。本加算については、レセコンでは自動算定されず、入力者の判断により算定することが多いと思われ、特に注意を要する。点数の算定要件に関する勉強会やスキルチェックは、定期的に行いたい。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ