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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)爪白癬に対する外用薬
日経DI2015年2月号

2015/02/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年2月号 No.208

出題と解答:今泉 真知子

(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(1)外用が可能なのは爪透過性が他の抗真菌薬より高いためである。

 白癬症は、皮膚糸状菌(Trichophyton rubrum、Trichophyton mentagrophytesなど。白癬菌と総称される)による皮膚感染症である。白癬菌はケラチンを養分とするため、ケラチンの豊富な皮膚の角質層や爪、毛に感染することが多い。感染した部位に応じて、足白癬(水虫)、爪白癬(爪水虫)、股部白癬(いんきんたむし)などと呼ばれる。爪白癬は足白癬が足の爪に感染して生じることが多いが、手の爪に生じることもある。

 日本で行われた疫学調査1)によれば、5人に1人が足白癬を有し、また10人に1人は爪白癬を有すると報告されている。この調査は足白癬が増え始める4~5月に行われたものであるが、爪白癬は季節的変動がないため、日本では常時1000万人以上の爪白癬患者がいることになる。また、足白癬、爪白癬ともに、年齢が上がるにつれて頻度が増える。Kさんが心配するように、同居の家族間で感染することも多い。

 白癬症の治療には、抗真菌薬が用いられる。抗真菌薬には、ポリエン系、アゾール系、キャンディン系などがあるが、従来爪白癬に対して保険が適用されていたのは、アゾール系抗真菌薬であるイトラコナゾール(商品名イトリゾール他)とテルビナフィン塩酸塩(ラミシール他)の経口薬だけだった。

 Kさんにはこれまで、ラミシールの経口薬が処方されていた。だが、本剤は肝機能障害などの副作用が起きやすい。また、薬物代謝酵素チトクロムP450(CYP)の分子種のうち2C9、1A2、3A4、2C8、2C19により代謝され、また、2D6を阻害するため、他薬剤との相互作用も多い。Kさんは肝機能に対する悪影響が懸念されたため、ラミシールが中止された。

 今回改めてKさんに処方されたエフィナコナゾール(クレナフィン)は、トリアゾール系に分類される抗真菌薬で、2014年9月に発売された。適応症は爪白癬のみである。真菌細胞膜のエルゴステロールの生合成を阻害することで菌の増殖を抑える。爪の主成分であるケラチンとの親和性が低く、爪の表面(爪甲)の透過性に優れることから、その下の皮膚(爪床)にまで達し、爪甲下部や爪床に存在する白癬菌に対して高い抗菌活性を持つ。

 国際共同第3相試験(日本、米国、カナダ)および海外第3相試験(米国、カナダ)のいずれにおいても、エフィナコナゾール投与群は、外用薬基剤投与群に比べて、投与開始後52週目の完全治癒率(感染面積0%かつ真菌学的治癒の割合)など全ての有効性評価項目で有意な差が認められた。なお、クレナフィンの添付文書(2014年9月改訂[第2版])には、相互作用に注意を要する薬剤または併用禁忌となる薬剤は記載されていない。

 薬を使用する際は、薬液のボトルと一体になったはけで、皮膚との境界部も含めて、罹患している爪全体に十分に塗布する。刺激を感じることがあるので、周囲の皮膚に付着した薬液は、ティッシュペーパーや綿棒などで拭き取る。薬を塗る爪の周辺に傷がある場合は特に注意する。

 また、薬剤が効いても、患部の爪には白癬菌が残っている。このため、爪白癬の治療には、足の爪が新しい爪に生え変わる1年~1年半ほどの期間が掛かることを患者に十分説明しておくべきだろう。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀たえこ

 爪白癬に使える薬は、以前まで飲み薬しかありませんでした。今回Kさんに処方されたお薬は、爪白癬の薬として最近使えるようになった、新しい塗り薬です。お薬の容器と一体になったはけで、爪白癬になっている爪に塗ってください。爪と、その下の皮膚にも薬が行き渡るよう、皮膚との境界部分も含めて爪全体に塗るようにしてください。

 また、薬が効いても患部の爪には白癬菌が残っています。足の爪が生え変わるのにはだいたい1年から1年半くらい掛かりますので、その程度の期間、根気よく治療を続けてくださいね。

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