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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)乾癬治療のピラミッド計画とは
日経DI2015年1月号

2015/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年1月号 No.207

出題と解答 :今泉真知子
(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

ビタミンD3外用薬、外用ステロイド、光線療法、
レチノイド、シクロスポリン、メトトレキサート、生物学的製剤

 尋常性乾癬は、慢性の炎症性皮膚疾患で、表皮細胞の異常な増殖と角化異常が特徴である。皮疹は被髪頭部や四肢の伸側、腰臀部など刺激を受けやすい部位に好発する。紫外線照射が効果を示すように、顔面に現れることは少ない。痒みを伴うケースは約半数に見られる。

 多くは中年期以降に発症し、わが国では男女比が2:1である。乾癬には尋常性乾癬の他に、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬、汎発性膿疱性乾癬、滴状乾癬などがあるが、尋常性乾癬が90%を占める。

 診療現場で多く行われている治療には、ステロイドや活性型ビタミンD3の外用、PUVA(psoralen-ultravioletA)療法などの光線療法、シクロスポリンやレチノイド、メトトレキサート(MTX、保険適用外)の内服がある。また、近年では生物学的製剤の有用性も期待されており、これらの治療法を整理したものがピラミッド計画(図)である。

図 乾癬治療のピラミッド計画

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 ピラミッドは5段からなり、下からシーケンシャル療法(ビタミンD3外用薬と外用ステロイドの併用)、光線(紫外線)療法、レチノイド、シクロスポリン/MTX、生物学的製剤の順に重なっている。ピラミッドの底辺の長さが適応の広さと相関しており、例えばシーケンシャル療法は最も広い適応を持ち、上に位置する他の治療法との併用が可能である。ただし、このピラミッド計画は全ての患者がたどる治療の道筋を示したものではない。

 図の中でシクロスポリンの段がレチノイドと光線療法の段に食い込んでいるのは、紫外線療法の潜在的な発癌リスクを考慮したもので、光線療法とシクロスポリンを同時に併用しないことを表している。つまり、ピラミッド計画では、シーケンシャル療法の土台の上に、レチノイドを頂点とする山と、シクロスポリンを経て生物学的製剤に至る山の2つが乗っている。同一の山に属する治療法の組み合わせが推奨されており、異なる山にある治療法の併用は適さない。

 今回、処方された外用薬の組み合わせから、Fさんはピラミッド計画では最下段に位置していると考えられる。

 活性型ビタミンD3外用薬には、Fさんに処方されたカルシポトリオール(商品名ドボネックス)のほか、タカルシトール水和物(ボンアルファ、ボンアルファハイ他)、マキサカルシトール(オキサロール他)がある。ステロイドに比べて、寛解後に皮疹が再燃するまでの期間は長く、長期連用による患部の皮膚萎縮や毛細血管拡張などの副作用がない。ただし、効果の発現までに時間が掛かり、皮膚刺激が多く出る点も指摘されている。

 一方、外用ステロイドはFさんに処方されたベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル(アンテべート他)のようにストロングクラス以上の薬剤を用いる。両者は互いの欠点を補う形で尋常性乾癬への効果をもたらすため、よく処方される組み合わせである。ただし、高濃度の活性型ビタミンD3外用薬は、経皮吸収により高カルシウム血症を来す可能性があるため、注意が必要である。

こんな服薬指導を

イラスト:YAB

 お薬を使い続けていて、Fさんの病状が良くなっているのですね。先生がお話しになったピラミッド計画とは、乾癬の治療法を段階的に示したものです。

 Fさんが現在続けている治療はピラミッドの一番下の段に入っていて、これは尋常性乾癬の治療の基礎となるものです。万が一、症状が悪化した場合には、2つのお薬に別の治療法を追加するか、別のお薬に切り替えます。

 なお、全ての患者さんがピラミッド頂上の治療法までたどり着くわけではありません。症状が良くなれば段を下ることも可能です。

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