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医師が語る 処方箋の裏側
重症ドライアイ患者の点眼薬治療 ムコスタを14日分で処方する理由
日経DI2015年1月号

2015/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年1月号 No.207

 慢性的な目の乾き、充血と痛みを訴えて、当院を受診した花田富士子さん(仮名、56歳)。フルオレセインを用いた生体蛍光染色検査、涙の量を調べるシルマー検査などにより、重症のドライアイと診断し、点眼薬による治療を開始した。

 重症のドライアイでは、乾燥した瞼と擦れあった眼球表面に微細な傷ができ、痛みや炎症が出る。そこで、今回花田さんには、涙の成分の一つであるムチンの産生促進と角膜・結膜障害の回復を狙ってムコスタ点眼液(レバミピド)、眼表面の保湿のためにヒアルロン酸の点眼薬、そして眼球表面の傷からの感染を防ぐ目的で抗菌点眼薬を処方した。ムチン産生促進薬では他にジクアス点眼液(ジクアホソルナトリウム)も選択肢となるが、痛みを感じている患者にはムコスタが適していると考えている。

 ただし、当院では初回の患者には、ムコスタ点眼液が効果を発揮するまでに必要なぎりぎりの量、14日分しか処方しない。その理由は、ムコスタ点眼液の特徴にある。

 ムコスタ点眼液は点眼薬としては珍しく白濁した製剤であり、点眼後もしばらくは視界が白く曇る。また、点眼後、目の周囲に薬液が付着したままだと、水分が蒸発した後に白い粉が残ってしまう。さらに、点眼後しばらくすると、喉の奥にレバミピド独特の苦味を感じる。どれも服薬アドヒアランスの面からはマイナスの特徴であり、いきなり28日分を処方しても、患者が使用を中断してしまう可能性がある。

 そこで、当医院では、初回処方時には職員による丁寧な説明の後、まず1回、院内で点眼させ、その特徴を実感してもらっている。そして初回の処方14日分がきちんと使用できたかを確認した後で、28日分を処方している。しばらくムコスタ点眼液を継続できていた患者でも、自己判断で点眼を止め、再び症状が悪化して来院する方は少なくない。医師が中止を指示するまでは点眼を継続するよう、薬局でも指導してほしい。(談)

清澤 源弘氏
Kiyosawa Motohiro
清澤眼科医院院長。1978年東北大学医学部卒業。同大大学院修了後、フランス原子力庁研究員、米国ペンシルバニア大学フェロー、東京医科歯科大学眼科助教授などを経て、2005年に清澤眼科医院を開業。専門は神経眼科学。

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