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調剤報酬請求の落とし穴
自家製剤加算の査定例 半割などの指示には注意を
日経DI2015年1月号

2015/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2015年1月号 No.207

水口錠二●Mizuguchi Jyoji
事務職員として医療機関に勤務後、独立して医療コンサルタントとなる。一般社団法人日本医療報酬調査会理事長として、医療機関や薬局の経営コンサルティング、レセプト指導、査定対策などを行う。池坊短期大学文化芸術学科教授として診療報酬、保険制度、関連法規などの講義も受け持つ。

 今回から、調剤報酬請求時に実際に査定されたケースを基に、問題点と対策を紹介していきたい。

 請求時に査定されやすいケースは、各地方厚生局が公表している「個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項」に、ある程度記載されている。その内容を確認しておけば、具体的な対策を立てることが可能となる。では、実際の審査事例を紹介していこう。

審査事例
自家製剤加算の査定(1)

 不眠症などに用いられるベンゾジアゼピン系薬のハルシオン(一般名トリアゾラム)だが、この処方例では0.5錠となっており、0.25mg錠には割線も入っている。このため半分に割って調剤すれば、自家製剤加算が算定できるように見えなくもない。しかし、よく知られている通り、この調剤では同加算を算定できない。

 自家製剤加算には、表1のような規定がある。特に注意が必要な部分を下線で示したが、この事例では「オ」に該当したために、査定されたものと考えられる。

表1 自家製剤加算の規定(抜粋)

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 ハルシオンには、薬価基準に収載されている規格として0.25mg錠と0.125mg錠があり、0.25mg錠を分割した錠剤は、同一規格を有する医薬品に当てはまってしまう。ハルシオンは1983年に発売された比較的歴史のある薬剤であるが、発売当初は0.25mg錠のみであり、0.125mg錠が発売されたのは90年である。このため0.125mg錠が登場するまでは0.25mg錠を割錠して処方する方法が取られていたが、現在ではその必要性はなくなっている。

 このように、新たな含有量の医薬品が発売されるなどで自家製剤加算が算定できなくなるケースがあるので、注意を要する。もっとも、ハルシオンの場合は0.125mg錠が出てかなり年月がたっており、今回の事例はレセコン入力担当者の不慣れやミスが原因で自家製剤加算を算定してしまったものと思われる。

審査事例
自家製剤加算の査定(2)

 抗凝固薬のワーファリン(ワルファリンカリウム)には、0.5mg錠、1mg錠、5mg錠の3種類の錠剤と、0.2%の顆粒剤が存在する(後発品には2mg錠もある)。今回の処方に際し、薬局では指示通り1mg錠を割って4分の3ずつ調剤し、自家製剤加算を算定したところ、査定された。

 査定の理由は、「1mg錠には4分割するための割線がないため算定できない」というものである。ワーファリン錠1mgには割線が1本しかないため、4分割することは想定されていないという解釈が成り立つ。

 古い資料ではあるが、2002年4月11日の厚生労働省保険局医療課の事務連絡によれば、「割線のある錠剤の4分割に自家製剤加算が算定可能か否か」について、「フルイトランなど客観的に均一にできる根拠があれば算定可能。また、医師の了解を得た上で散剤として製剤した場合には算定可能である」との回答が出ている。つまり、ワーファリン1mg錠は、客観的に均一にできる根拠がないことになる。

 なお、錠剤を散剤にしたとしても、ワーファリンには顆粒剤が発売されているため、医師の了解を得た上で散剤として製剤しても自家製剤加算は算定できない。本事例の対応としては、薬剤料が若干変動するものの、0.5mg錠1つと0.5mg錠を半割したもの1つを組み合わせる、あるいは顆粒剤での調剤も考慮し、医師および患者と相談すべきだろう。

 とはいえ、割線のない錠剤を半分に割って調剤した場合にも算定可能とする地域もあるため、こうした事例には地域の実情に応じた対応が必要となる。

 このほか、自家製剤加算の査定事例としては、調剤録などに製剤工程(粉砕や分割など)を具体的に記載していないケースなども指摘されている。薬局でよく半錠に調剤している薬剤については、リストを作成し、自家製剤加算の算定の可否や代替品の有無をまとめておくとよいだろう。

表2 自家製剤加算の点数表

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審査事例
検査薬の取り扱い

 次に、検査薬の取り扱いに関する事例を取り上げる。上記処方箋は、ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム水和物)を、大腸内視鏡検査の前処置における腸管内容物の排除目的で処方したものである。この処方箋を応需して調剤料および調剤基本料などを算定したところ、査定された。

 医療機関の検査で使用する薬剤が処方された場合には、調剤料や調剤基本料、薬学管理料などは算定できない。このルールに該当し、査定されるケースが多く見受けられる。検査に用いられる薬にはラキソベロンのほか、ドパストン(レボドパ)やガスモチン(モサプリドクエン酸塩)などがある。

 なお、検査薬の処方に対して薬局が調剤基本料などを算定できない旨を明記した文書は、今のところ厚生労働省からは出されていない。ただし、医科の診療報酬に関する厚労省通知(平成26年保医発0305第3号)には次のようにある。

 「検査に当たって施用した薬剤の費用は別に算定できるが、第2章第5部投薬の部に掲げる処方料、調剤料、処方せん料および調剤技術基本料並びに同第6部注射の部に掲げる注射料は、別に算定できない」

 この記載に従い、薬局にも同様に適用されているのが現状と思われる。

 また、処方箋による検査薬の交付について、「その行為が禁止されているわけではないが、検査は医療機関の中で完結するものなので、基本的に院内投与が前提と考えられている。そのため、保険薬局においても検査薬に係る調剤料などの技術料の算定は認められていない」(調剤と情報 2006;12: 187)とする解説もある。

 なお、上記解釈からすると、薬剤料についても査定されないとは言い切れない部分もある。検査薬を処方箋で院外処方している医療機関があれば、処方医に理解してもらい、院内で支給してもらうよう対処するのが望ましい。

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