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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)アリセプトの投与量と認知症のタイプ
日経DI2014年12月号

2014/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年12月号 No.206

出題と解答 :今泉真知子
有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(3)レビー小体型認知症

 認知症は、正常に発達した知的機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障を来すようになった状態である。その病態から、(1)アルツハイマー型認知症、(2)脳血管性認知症、(3)レビー小体型認知症、(4)前頭側頭型認知症─などに分類される。

 Nさんに処方されているドネペジル塩酸塩(商品名アリセプト他)は認知症治療薬であり、アセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)の働きを妨げて脳内のアセチルコリン濃度を高め、認知症症状の進行を抑制する。適応としてはアルツハイマー型認知症のほか、2014年9月に先発品のアリセプトがレビー小体型認知症の適応を取得した。

 レビー小体型認知症は、認知症のおよそ2割に見られるとされ、パーキンソン病で脳幹や間脳に特異的に生じる異常な蛋白質(レビー小体)が、大脳皮質にも広く出現、蓄積することで発症する。症状として、認知機能障害が顕著になるよりも前に、特有な幻視やそれに基づく妄想、抑うつ、異常行動が表れることが多い。そこにいるはずがない人がいると訴えたり、被害妄想を抱くケースも少なくない。さらに注意力や覚醒レベルの変動を伴う認知機能の動揺も見られる。比較的早期から錐体外路症状(パーキンソニズム)が表れるのも特徴であり、睡眠中に大きな声で叫んだり、布団の上で暴れるといった異常な行動も多い。

 レビー小体型認知症では、コリン作動性神経がアルツハイマー型以上に脱落していることや、大脳皮質のアセチルコリン濃度がアルツハイマー型よりも低下していることなどから、ドネペジルが効果的であると考えられている。

 さて、ドネペジルがレビー小体型認知症に用いられる際、Nさんのように3mg(~1mg)の少量投与が行われることがある。レビー小体型認知症は、薬剤に過敏に反応しやすい特性があるため、副作用が出やすく、かえって症状が悪化することもあるほか、少量のドネペジルでも症状が改善するケースが少なくないためである。少量投与が継続的に行われていれば、レビー小体型認知症を疑うきっかけとなる。もっとも、アルツハイマー型認知症でも少量投与が行われることがあり、それだけではNさんがレビー小体型認知症と言い切れない部分もあるが、Nさんには幻視や大声を出すなどの症状があることから、レビー小体型認知症であると推測できる。

 レビー小体型認知症に対して承認されたアリセプトの用法・用量は、「通常1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる」である。つまり、10mgが維持量であり、10mgから5mgへの減量例においても、レビー小体型認知症である可能性を考慮したい。

こんな服薬指導を

イラスト:YAB

 前回から引き続き、アリセプトというお薬が処方されています。このお薬はご存じの通り、認知症の治療薬です。脳の中で不足している神経の物質を増やすように働いて、物忘れなどの認知機能の低下を抑えます。

 Nさんのように、実際にはないものが見えるといった幻視症状がある認知症に、レビー小体型認知症と呼ばれるものがあります。レビー小体型認知症の症状にもアリセプトが有効であることが、これまでの研究で分かってきました。

 ただ、レビー小体型認知症の方は薬に反応しやすいといわれ、副作用が出る恐れもあるため、通常より少ない量で使われる先生がいらっしゃいます。Nさんの場合、通常より少ない量でも効果が出ているので、先生は前回と同じ量を処方されたのだと思います。もし何か気になることがありましたら、またご相談ください。

参考文献
1)Brain Medical2013:25;49-55.

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