DI Onlineのロゴ画像

DIクイズ3(A
DIクイズ3:(A)ドライアイに対する点眼薬の使い分け
日経DI2014年12月

2014/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年12月号 No.206

出題と解答 :今泉 真知子
有限会社丈夫屋[川崎市高津区]

A1

(ア)液層の水分を補給する点眼薬
(1)ヒアレイン点眼液(一般名ヒアルロン酸ナトリウム)
(2)ジクアス点眼液(ジクアホソルナトリウム)、(4)人工涙液

(イ)ムチンの産生や分泌を促す点眼薬
(2)ジクアス点眼液、(3)ムコスタ点眼液(レバミピド)

 ドライアイは、「様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う」と定義されている。診断は、「眼が乾く」「眼がゴロゴロする」といった自覚症状に加え、涙液の異常や角結膜上皮の障害の有無により行われる1)

 わが国におけるドライアイの患者数は2000万人以上ともいわれ、空調の普及、パソコンの使用の増加、コンタクトレンズ装用者の増加、人口の高齢化などにより、患者数が急増している2)

 ドライアイの治療は従来、人工涙液(商品名人工涙液マイティア点眼液)やヒアルロン酸ナトリウム(ヒアレイン点眼液他)の頻回点眼を中心とした涙液層の水分補給が中心だった。だが最近になって、角結膜の粘液性の成分であるムチンの産生を促進するレバミピド(ムコスタ点眼液)や、水分およびムチンの分泌を促すジクアホソルナトリウム(ジクアス点眼液)が登場した。これにより、涙液層と表層上皮から成る眼表面の異常に対し、層別の成分を補充することで涙液層の安定性を高め、ドライアイを治療するという新しい考え方が生じた。この層別治療の考え方をTFOT(tear film oriented treatment)と呼ぶ2)

 表1に、TFOTにおける層別の点眼薬をまとめた。最も表面にある油層に異常のある場合の局所治療としては、温罨法(おんあんぽう)、眼瞼清拭などと共に、ジクアホソルが挙がる。液層の水分を補給するのは、人工涙液、ヒアルロン酸、ジクアホソルである。これまでWさんに処方されていたヒアルロン酸は、水分を分子中に取り込み、蒸発しにくくする。

表1 ドライアイのTFOT(ドライアイ研究会ウェブサイトより改編)

画像のタップで拡大表示

 一方、液層の分泌型ムチンおよび角膜上皮の膜型ムチンの産生や分泌を促すのは、ジクアホソルとレバミピドである。このうちレバミピドは胃粘膜保護薬としても利用されているが、ムチン産生促進作用を有しており、親水性成分であるムチンが涙液を角結膜表面に保持し、ドライアイを改善させる。また、レバミピドには抗炎症作用があるとされ、眼表面の炎症を抑える可能性もある。

 ムコスタ点眼液は使い切りの白い懸濁液であり、使用する際には薬剤を分散させるため、容器を指でしっかりはじくようにする。振ると泡立って出なくなることがあるため、振らないようにする。点眼した後に一時的に目がかすむことがあるので、点眼直後は機械の操作や自動車などの運転に注意するよう指導する。また、レバミピドは苦みが強い成分であり、成分が喉から舌に届いて苦みを感じやすいことをあらかじめ伝えておく必要がある。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 目の表面にはムチンという粘液性の成分があり、これが水分を保持することで眼の表面が乾くのを防いでいます。Wさんに処方されたムコスタ点眼液には、このムチンを増やす働きがあります。

 Wさんに以前に処方されていたヒアレインには、涙の水分を蒸発しにくくさせる作用がありますが、涙を結膜にとどまりやすくするムチンを増やす作用はありません。先生は今回、Wさんにはムチンを補充するムコスタの方が向いていると判断されたのでしょう。

 使う前には容器を指ではじいて薬がよく混じるようにしてください。また、差した後に喉の奥が苦く感じることがあります。もし苦みが我慢できなければご相談ください。

参考文献
1)あたらしい眼科 2007;24:181-4.
2)京府医大誌 2013;122:549-58.

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ