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薬局なんでも相談室1
相談室1:まつ毛を伸ばす薬について知っておくべきことは?
日経DI2014年12月号

2014/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年12月号 No.206

 最近発売された「まつ毛を伸ばす薬」とは、2014年9月に発売された睫毛(しょうもう)貧毛症治療薬グラッシュビスタ外用液剤0.03%5mL(一般名ビマトプロスト)です。これは、緑内障・高眼圧症の適応で09年10月に発売されたルミガン点眼液0.03%と同じ有効成分です。ルミガンの副作用であるまつ毛の成長促進作用を効能効果として開発されたのがグラッシュビスタです。

 グラッシュビスタは、まつ毛が不足している、または不十分な状態にある睫毛貧毛症の治療薬です。加齢などにより生じる特発性の貧毛に加え、円形脱毛症などの基礎疾患に由来する脱毛症や、抗癌剤などの投与による薬物誘発性の脱毛症の患者が治療の対象になります。

 自由診療で用いられる薬であるため、保険薬局ではほとんど目にしないと思います。価格は、1本(5mL)、約70日分を2万円前後で提供する医療機関が多いようです。1日1回、就寝前に上まぶたのまつ毛の付け根に塗布します。

 国内で行われた臨床試験の結果では、投与開始2カ月後から改善を自覚する被験者が有意に増加し、4カ月後には、8割弱でまつ毛の長さ・濃さが改善していました。他人が見てはっきりとまつ毛の伸びが分かるまでには、一般に4~6カ月程度継続して使用する必要があります。使用を中止しても2カ月ほどはまつ毛が長い状態が続き、それを過ぎると次第に元の状態に戻っていきます。

 この薬が、どのような機序でまつ毛の成長を促進しているのか、詳細は不明ですが、まつ毛の毛周期における成長期を延長することで成長を促進すると考えられています。また、休止期から成長期への移行を促進している可能性もあります。

 グラッシュビスタは08年に米国で初めて承認されました。海外で行われた臨床試験において、副作用の発現率は約25%でした。主な副作用は、結膜充血、眼瞼掻痒、眼瞼紅斑、点状角膜炎などですが、特に気を付けたい副作用は、眼瞼縁の色素沈着です。これを防ぐため、薬剤を上まぶたのまつ毛の付け根だけに塗布する専用の使い捨てブラシ(アプリケータ)が添付されています。色素沈着が目立つ下まぶたの貧毛治療には使用できません。

 なお、眼内レンズを挿入している患者や、硝子体手術などの既往のある患者では慎重投与となっています。妊娠中の投与に関する安全性は確立していないため、原則として妊婦には使用できません。授乳婦が使用する場合は授乳を中止します。

 注目される適応は、癌化学療法後の睫毛貧毛症です。癌化学療法による脱毛では、治療が終われば再び毛が生えてきますが、まつ毛の場合、治療前の状態に戻るまでに1~1年半ほど掛かります。グラッシュビスタを使うと、治療開始前の状態のまつ毛に戻るのを半年以上早めることができ、癌患者のQOL向上に役立つと期待されます。

 薬局でまつ毛の悩みを打ち明けられたら、自由診療でこのような治療もあることを紹介してみてはいかがでしょうか。

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