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特集:後発品をどう選ぶ2014
私のお薦め後発品
日経DI2014年11月号

2014/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年11月号 No.205














 オーソライズド・ジェネリック(AG)とは、後発品メーカーが先発品メーカーから権利の許諾を得て、先発品と同じ製品を後発品として発売するもの。AGとしては現在までに内服薬3製品(写真)と点滴静注製剤のゾレドロン酸水和物(先発品はゾメタ)の計4製品が登場している。

(奥)フェキソフェナジン塩酸塩錠「SANIK」
販:日医工サノフィ 販:日医工 製:日医工サノフィ 31.9円/30mg錠、41.4円/60mg錠
一般名:フェキソフェナジン塩酸塩 先発品:アレグラ錠(サノフィ)(56.4円/30mg錠、71.9円/60mg錠)

(中)バルサルタン錠「サンド」
販・製:サンド 15.7円/20mg錠、29.3円/40mg錠、54.6円/80mg錠、81.9円/160mg錠
一般名:バルサルタン 先発品:ディオバン錠(ノバルティス ファーマ)(32.3円/20mg錠、58.5円/40mg錠、109.1円/80mg錠、212.6円/160mg錠)

(前)カンデサルタン錠「あすか」
製:あすか製薬 販:武田薬品工業 21.6円/2mg錠、41.9円/4mg錠、81.4円/8mg錠、103.2円/12mg錠

 今回の調査で、AGについてどのように考えているかを聞いた結果、「積極的に採用したい」(34.1%)、「どちらかといえば採用したい」(40.6%)を合わせると74.6%の薬剤師が採用したいと考えていることが明らかになった(図4)。立場別に見ると、薬局経営者で否定的な意見が多かった。購入価格が他の製品に比べて高いことなどが影響しているようだ。

図4 オーソライズド・ジェネリックの採用に関する意識

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積極的にAGを使いたい!

・添加物の違いや浸透性、使い心地の違いにより、患者希望で後発品から先発品に戻すケースが多いので、AGを使いたい。(40代女性、病院門前の大規模チェーン薬局管理薬剤師)

・患者に説明しやすく、納得も得られやすい。他の製品より早めに発売されたAGは、後発医薬品調剤体制加算を算定するために採用せざるを得ない。(20代男性、診療所門前の中小チェーン薬局管理薬剤師)

・後発品への変更に抵抗がある医師や患者もAGだと変更に応じてくれることが多く、後発品に対する抵抗感を小さくする効果が期待できる。(30代男性、診療所門前の大規模チェーン薬局管理薬剤師)

条件によって使いたい…

・薬価差益と後発品数量シェアを天秤にかける。(40代男性、診療所門前の中小チェーン薬局経営者)

・9月発売のAGは先発品の60%の薬価だが、12月には50%の薬価の後発品が出てくる。数量シェアを見ながら検討する。(40代女性、診療所門前の中小チェーン薬局管理薬剤師)

・患者はAGの服用にそれほど違和感はないと思う。ただし、一包化などのためにPTPシートから取り出した際に、先発品と見分けにくいので、薬局内での取り扱いが不便になりそうなのが懸念材料。(30代男性、診療所門前の大規模チェーン薬局管理薬剤師)

AGは採用したくない!

・現在の後発品は、先発品よりも視認性が良かったり、OD錠があったりする。ただ先発品と全く同じという理由だけで後発品を選択する時代ではない。(30代男性、病院門前の中小チェーン薬局勤務)

・AGを出すよりも、全て後発品メーカーに任せて、先発品は製造中止すれば薬剤費も下がるし、薬局の無駄な在庫も無くなる。そもそも添加物で効き目が違うのなら、そんな製品を承認する国に問題がある。(40代男性、診療所門前の個人薬局経営者)

・現状でも多くの患者が先発品と後発品の違いをよく分かっておらず、今以上の説明は混乱を招く。(20代女性、診療所門前の中小チェーン薬局勤務)

 後発品の数量シェア(新指標)を32.1%(12年10月~13年9月)から67.1%(13年10月~14年3月)にまで一気に引き上げた国立病院機構千葉医療センター(千葉市中央区、病床数:455床)。どのような方針で後発品を選び、どうやって混乱なく先発品から切り替えることに成功したのか。


 「購入額または数量の上位から順に、後発品への切り替えを検討する」─。同センター薬剤科長の加藤一郎氏は、後発品選定の方針をこう話す。同センターでは、後発品の採用に関する院内基準を策定し、薬事委員会でどの後発品を採用するかを決定している。

千葉医療センター薬剤科の加藤一郎氏(中央)、本郷知世氏(左)、岩村瞳氏。

54項目をポイントに換算

 後発品への切り替えを検討する場合、委員会開催の3週間前までに、後発品販売会社に対し、チェックリストおよび資料(表1)の提出を依頼する。そして薬剤科長が後発品販売会社の医薬情報担当者から製品情報を収集する。「原末の輸入先などの情報を非公開としている会社もあるが、守秘義務契約を結んで開示してもらい、検討終了後にはデータを破棄するなどして、どの会社からも平等に情報を得るようにしている」(加藤氏)。

表1 千葉医療センターが作成した後発品チェックリスト(内服薬)

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 評価判定も明快だ。「単価が1番低い後発品は5ポイント、2番目は3ポイント、3番目は1ポイント。そしてチェックリストの各項目の『有』『可』を1ポイント、『無』『不可』を0ポイントというように、全てをポイントに換算して評価するようにした」と調剤主任の本郷知世氏は話す。

 こうして出された評価を基に、薬事委員会で審議して採用薬を決定する。この薬事委員会は、同センター副院長が長を務め、薬剤科長、各診療科の医師、看護師、事務が必ず参加して、「薬剤師の視点だけでなく、関係者が全員、納得して決める。この場での決定が全てで、例外は認められない」(加藤氏)。医師が先発品の一部を残すことを希望した場合も、薬事委員会の承認を得た場合に限り認められるという徹底ぶりだ。

 委員会の透明性を担保するため、発言を議事録に残し、必要があれば開示できるようにしているという。

現場の混乱を防ぐ工夫とは

 こうして候補後発品184品目のうち183品目を一気に切り替えたわけだが、現場に混乱は起きなかったのだろうか。

 医師から多かった意見が「先発品の名前しか覚えていないので、後発品で処方できない」というもの。これを解決するために同センターでは、オーダリングシステムを改修し、先発品名で検索しても後発品名が併記されるように設定、先発品は赤文字で表示して名称の頭に「×」の印を付けるようにした。

 また、後発品に切り替える際には、先発品と後発品を写真入りで並べたお知らせを作成。印刷物にして病棟に配布するほか院内メールで送信し、周知を図った。「赤いシロップ剤の先発品を、透明な後発品に変更することもある。カラー写真で視覚的に分かるようにすることが有効だ」と薬剤科の岩村瞳氏は話す。看護師が病棟で確認できるよう、処方箋や電子カルテへの記載方法を工夫し、医事課への連絡なども薬剤科内で手順を決めて徹底したという。

 後発品の増加に伴い、調剤棚の配置も変更、かつての50音順から薬効順に全て並び替えた。処方箋には、薬剤名と一緒に棚番号を印字するようにしたり、特に間違えやすい薬剤のケースに半透明のフィルムを被せて注意を喚起したりと、様々な工夫をしたという。

 「後発品への切り替えは、薬剤師の業務を院内の他職種にアピールする良い機会」と加藤氏は語り、さらに後発品への切り替えを進めていく考えだ。

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