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特集:後発品をどう選ぶ2014
調剤報酬改定の影響度
日経DI2014年11月号

2014/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年11月号 No.205

 後発医薬品の使用促進を目的として後発医薬品調剤体制加算が新設されたのは今から6年前、2008年4月の調剤報酬改定だ。この時の算定要件は「1品目でも後発品を調剤した処方箋の受付回数(後発品調剤率)が30%以上」で加算は4点だった。その後、10年、12年の改定で段階的に算定要件が引き上げられてきたが、14年改定ではより一層、厳しいものになった。

 12年改定では、全調剤数量に占める後発品調剤数量の割合(いわゆる旧指標)で「22%以上5点、30%以上15点、35%以上19点」の加算が認められていた。本誌調査の結果では、14年3月時点で回答者の6割以上が19点を算定しており、何も算定していなかったのはわずか1割だった(図1)。

図1 調剤報酬改定前後の後発医薬品調剤体制加算の算定状況

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 それが14年改定では、後発品の数量シェア(いわゆる新指標、「後発品の数量/[後発品のある先発品の数量+後発品の数量]」)で「55%以上18点、65%以上22点」となった。指標が異なるため単純に比較はできないが、算定しやすい低い要件がなくなった結果、算定していない割合が4割近くまで増え、22点を算定しているのは3割強にとどまった。

病院の門前薬局への影響大

 この算定状況を薬局の立地別に見ると、駅前やショッピングモール周辺、オフィスビル周辺など、処方箋を面で応需する薬局では、5割弱が算定していなかった(図2)。ただし、これらの薬局は、13年の調査でも33.9%が算定しておらず、その傾向に大きな変化は見られない。また、処方箋集中率で見ても、集中率が90%超では41.3%が22点を算定していたが、30%以下では8.9%だった。面で処方箋を応需する薬局にとっては在庫負担が大きく、後発品比率を高めるのは難しいようだ。

図2 加算と立地の関係

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 これに対し、病院の門前薬局で算定していない割合は、13年調査では21.8%であったが、今回は40.1%と倍近くに増えている(図2)。最も高い22点を算定している薬局は17.6%しかなく、今回の後発医薬品調剤体制加算の見直しの影響を最も受けているのは、病院の門前薬局といえる。

後発品にしない理由の記載

 4月以降、一般名処方が行われた医薬品について後発品を調剤しなかった場合には、その理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載することが求められるようになった。理由は「患者の意向」「保険薬局の備蓄」「後発品なし」「その他」の4つから選択する。

 そこで調査では、この理由記載についてどう考えているかを自由に記述してもらう欄を設けた。すると700件以上の意見や疑問が寄せられた。中でも多かったのが、「なぜ理由を記載しなければいけないのか分からない」「集計したデータは何に反映されるのか」など、理由記載の目的を問うもの。これについて厚生労働省保険局医療課に確認したところ、「問題のある薬局を特定して指導するために設けた項目ではない。現時点で、何らかの明確な目的で解析する予定はないが、今後、後発品使用推進の方策を考える上で参考にすることは確かだ」(同課主査の高崎紘臣氏)。

 このほか「同じ理由を記載し続けると、監査や指導の対象になったりするのか」という声も多かった。「同じ理由を記載し続けること自体が、直ちに問題になることはない。ただし、その理由について、合理的な説明は必要になる」と高崎氏は話している。

後発品NG患者、説得のコツ

 いずれにせよ、後発品の使用促進の流れは止まることはない。ある薬局経営者は「今回、加算が算定できないからといって後発品比率を高める努力をしなかったら、次の改定でもっと苦しくなるのは必至。地道に取り組むしかない」と話す。調査の結果、最も多かった取り組みは「以前、後発品を希望しないと申告していた患者に、改めて後発品について説明し理解を求めた」で、回答者の6割に当たる492人が取り組んでいた(図3)。

図3 後発品の数量シェアを上げるための取り組み(n=833、複数回答)

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 薬学的な理由なく、漠然とした不安から後発品を希望しないという患者に対し、どのように説明すると効果的なのだろうか。10月12、13日に山形市で開催れた第47回日本薬剤師会学術大会では、後発品の使用を促進するための取り組みが相次いで報告された。

 「うちの薬局でも、後発品のあるお薬は、もう半分以上が後発品になっているんですよ」─。神女薬局(山口県周南市)の原田裕介氏は、こんな言葉で患者の漠然とした不安を取り除く。既に後発品を使っている人がたくさんいることが分かると、「じゃあ、私も使ってみようかしら」という気持ちになる人は少なくない。同薬局では、先発希望だった患者に、改めて後発品の説明をして希望を確認する取り組みを14年1~2月に集中的に行い、2カ月間で数量シェアを約6.8%上昇させたという。「薬歴に『先発希望』と書いてあっても、2~3年前の情報だったりする。今後は確認日を薬歴に記載し、6カ月をめどに再確認することにした」(原田氏)。

 「病院の採用品です」─。秋田市の市立秋田総合病院(458床)の門前に立地するかがや薬局は、後発品の品目数を大幅に増やすことなく、1年間で使用率を約10%伸ばして新指標で65%を達成した。新患初回アンケートの「後発品を希望しない理由」を分析したところ、最も多かったのが「薬が変わることへの不安」だったことから、同病院薬剤部との連携を強化し、後発品の品質や在庫状況などの情報を共有して、薬局と病院の後発品を同じものにした。「入院中の薬と同じであれば、患者は安心する。また、後発品を希望しない患者でも、病院採用品であると話すと抵抗なく受け入れてもらえるケースが多い」と、かがや薬局管理薬剤師の柳原弘子氏は話す。

DPC病院が一気に採用

 患者の後発品に対する意識は、近隣医療機関の動向によっても大きく左右される。特に今年は、DPC病院(急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度[DPC/PDPS]の対象となっている病院)で、後発品への切り替えが一気に進んでいる。後発品の使用割合に応じた係数が設定され、数量シェア60%を上限に、これを下回ると収入が減る仕組みが導入され、病院経営に大きく影響を与えるためだ。

 「以前は金額が高い薬を後発品に切り替えていたが、今回導入された後発医薬品指数は数量ベースなので、とにかく後発品の品目を一気に増やす必要がある」と国立病院機構千葉医療センター薬剤科長の加藤一郎氏は語る。同センターがどのように後発品を選び、院内で何に取り組んでいるのか、part2にまとめた。

調査概要
日経ドラッグインフォメーション Online(DI Online)の薬剤師会員を対象に、メールでWebアンケートの実施を告知。2014年7月24日~8月17日の期間で回答を求め、1104件の有効回答を得た(調査協力:日経BPコンサルティング)。回答者のプロフィールは以下の通り。【性別】男性:60.5%、女性:39.5%【年齢】29歳以下:8.8%、30代:30.2%、40代:28.4%、50代:25.2%、60歳以上:7.5%【薬局薬剤師 n=833】経営者:16.8%、管理薬剤師:48.4%、管理薬剤師以外の勤務薬剤師:34.8%【薬局の立地 n=833】病院の門前薬局:21.8%、診療所の門前薬局:58.2%、医療ビルの中:3.6%、駅前やショッピングモール周辺、オフィスビル周辺など:8.2%、その他:8.2%【薬局の経営形態 n=833】個人経営の薬局:32.9%、ほぼ同一市町村内に複数店舗を展開する法人薬局:29.22%、同一都道府県内やその隣接地域に店舗を展開するチェーン薬局:24.8%、全国的な大規模薬局(フランチャイズを含む):13.1%【薬局で1カ月に扱う処方箋枚数 n=833】599枚以下:13.6% 600~999枚:20.3% 1000~1999枚:37.1% 2000~2999枚:16.8% 3000~3999枚:6.6% 4000枚以上:5.5% 無回答:0.1%【薬局の処方箋集中率】30%以下:12.5% 30%超~50%以下:8.8% 50%超~70%以下:14.3% 70%超~90%以下:25.5% 90%超:34.8% 分からない:3.7% 無回答:0.5%【病院・診療所の薬剤師(n=271)の勤務先病床数】無床:3.3%、1~19床:0.4%、20~99床:15.1%、100~199床:24.4%、200~299床:11.8%、300~499床:24.4%、500床以上:20.7%【病院・診療所の薬剤師(n=271)の勤務先】DPC病院である:55.4%、DPC病院ではない:43.5%、分からない:1.1%

 今年4月以降、一般名処方が行われた医薬品について、後発品を調剤しなかった場合には、その理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載することが求められるようになった。この理由記載について、どう考えているかを聞いたところ、多くの意見が寄せられた。手間が増えたなど否定的な意見が多数を占めたが、その一方で「どのような理由で先発品にしたのか集計して、その結果をスタッフ間で共有し、患者への説明の仕方を考えた」など、薬局の業務改善に生かしている薬局もあった。主な意見を見てみよう。

反対です

・4つの理由の中に、「薬学的観点による」という理由がないのが非常に残念。特に外用薬で使用感などが先発品の方が優れている薬剤も多い。この場合は「その他」にしているが、それで本当にいいのか疑問に思う。(30代男性、診療所門前の中小チェーン薬局管理薬剤師)

・薬局がレセプトに記入した理由について、審査側は、全てチェックして、しかるべき対応を全てについて行っているのか。実際にどのように対応しているのか、情報を開示してほしい。(50代男性、個人経営の薬局勤務)

・「保険薬局の備蓄」を選び続けることが問題視されるなら、後発品の小包装や返品対応について、後発品メーカーや卸に行政側の指導があってもよいと思う。(30代男性、病院門前の大規模チェーン薬局勤務)

・4項目から選ぶことになっているが、先発品が複数ある場合、理由が一つとは限らないので、事実を反映できないときがある。局方品に対して4項目から選ぶのはナンセンス。(30代男性、診療所門前の中小チェーン薬局管理薬剤師)

・薬局での入力の手間が増すばかりで、わずらわしい制度だと思う。(50代女性、診療所門前の中小チェーン薬局管理薬剤部)

・まじめに積極的に取り組んでいる薬局ほど業務の負担が大きい。(30代男性、診療所門前の中小チェーン薬局管理薬剤師)

・国の方針として後発品使用促進の意図は分かるが、後発品を調剤しなかった理由は、レセプトに記載すべきことではないと思う。(40代女性、診療所門前の個人経営薬局の管理薬剤師)

賛成です

・「患者の意向」がほとんどだが、この理由を記載するため再び後発品について説明する意識が高まった。(40代男性、診療所門前の中小チェーン薬局管理薬剤師)

・いいことだと思う。今まで後発品はNGと言っていた人に理由をレセプトに記入しなければいけなくなったと伝えると、それなら後発品でいいと言う人が多い。(40代女性、診療所門前の中小チェーン薬局管理薬剤師)

・賛成。「保険薬局の備蓄」を理由にする場合は、薬局にペナルティがあっていいと思う。面倒臭い、採算が合わないからという理由で取り寄せないことがほとんどだと思うから。(30代男性、診療所門前の中小チェーン薬局管理薬剤師)

・最初は面倒だと思ったが、やってみるとどのような理由で先発品にしたのか改めて意識することができ、よかったと思う。(20代女性、中小チェーン薬局管理薬剤師)

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