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薬局なんでも相談室1
相談室1:オストメイトになった患者は公衆浴場で入浴できる?
日経DI2014年11月号

2014/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年11月号 No.205

 オストメイトとはストーマを持った人のことをいいます。ストーマとは、病気や事故で排泄機能が障害されたときに腹部に作られる便や尿の排泄口のことで、消化管ストーマ(人工肛門)と尿路ストーマ(人工膀胱)の2つがあります。

 ストーマが必要になる疾患は、直腸などの癌、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、膀胱など尿路系の疾患などであり、オストメイトは現在、約20万人いると言われています。

 ストーマは何かしらの器具を腹部に入れるのではなく、自分の腸や尿管をおなかの外に引き出して作るため、排泄を自分の意志でコントロールすることはできません。そのため、ストーマにストーマ袋(パウチ)という装具を被せ、そこに排泄物を溜めます。ストーマには神経がないので、排泄物によって袋が膨らんで圧迫されることで、あるいは重みによって排泄に気付きます。排泄物が少量の場合には気付かないこともあります。

 ストーマの形状は様々です。医師の考え方や手技によって形状が異なるだけでなく、患者の体型によっても違います。一般に、太っていて脂肪が多い人は、痩せた人よりもストーマが大きくなります。年とともに形状が変わることもあります。

 ストーマの形状が千差万別であるため、それに合わせる装具には何百という種類があります。そのため、通常、装具は専門メーカーやその販売店から購入します。

 さて、ご相談の件ですが、最近は装具も進歩しており、きちんと装着されていれば、臭いや中身が漏れるということはありません。ただ臭いの問題は、確かにオストメイトにとって非常に気になることは事実です。現在は、排泄物の臭いを消すための様々な消臭剤があるので、試してみるように勧めるとよいでしょう。また臭いは食べ物の種類によって強くなったり、弱くなったりします。薬局で、食生活に関する情報を提供することは、オストメイトにとって大きなサポートになるはずです。

 入浴に関しては、オストメイトになってからは自宅でもシャワーのみで、何年も湯船につかっていないという人がいます。ですが、術後しばらくすると「自分はこの時間帯であれば、便が漏れることはない」といったことが分かるようになります。

 温泉などの入浴施設に関しても、装具がきちんと装着されていれば問題ないのですが、まだまだ偏見があるようです。実際、入浴施設で入浴を拒否されたが、どうしたらよいのかという相談を受けることもあります。当協会では支部ごとに、1泊旅行を実施しています。ストーマの手術後は、「もう温泉に入れない」と思う人も多いのですが、この旅行で入浴マナーを学ぶと同時に、「自分はこの装具を使っている」「これを使うとよい」など、同じ立場の人と話すことで励まされるようです。

 実際にストーマや装具を見たことのある薬剤師は少ないかもしれませんが、ストーマについて正しい知識を持っていただき、薬局ではオストメイトの気持ちに寄り添って対応してほしいと思います。

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