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医師が語る 処方箋の裏側
尿管結石にα1遮断薬かCa拮抗薬、海外ではともに第一選択
日経DI2014年11月号

2014/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年11月号 No.205

 上の処方箋の患者は、前立腺肥大症に罹患しているわけではない。α1遮断薬のハルナール(一般名タムスロシン塩酸塩)の代わりに、カルシウム(Ca)拮抗薬のアムロジン(アムロジピンベシル酸塩)を処方することもある。患者が高血圧でもないとすれば、処方目的は何か。

 答えは尿管結石の治療である。両薬とも、服用することで痛みなどの症状が改善し、排石までの期間も短縮する。尿管平滑筋におけるα1受容体の遮断、あるいはカルシウムチャネルの拮抗阻害により、平滑筋が弛緩し排石が促されるためと考えられる。

 日本では両薬とも尿管結石への適応はないが、実は海外ではいずれも第一選択薬として用いられている。両薬の尿管結石に対する効果を調べたメタ解析の論文(Lancet.2006;368:1171-9.)も存在し、既存薬物に対する有用性が示されている。

 尿管結石には通常、保険適用のあるウラジロガシエキス(商品名ウロカルン)や猪苓湯が使われ、ブチルスコポラミン臭化物(ブスコパン他)、非ステロイド性抗炎症薬などが併用される。しかし、これらでは排石に1カ月ほど掛かることもあり、その間患者はいつ訪れるか分からない激痛に苦しむ。

 過去12年で17個の尿管結石に悶絶してきた私は2年前、もっと早く排石できないかと思案し、薬理作用からα1遮断薬の使用を思い付いた。詳しく調べたところ、海外では既にCa拮抗薬とともに頻用されていたというわけである。自験例として私自身が両薬を併用してみたところ、過去3番目の大きさ(直径5mm)の結石が、発痛後わずか4日で出てきた。今まで平均1カ月掛かったのが嘘のようであった。

 なお、友人の泌尿器科医に聞くと、泌尿器科医の間では尿管結石に対するタムスロシンやシロドシン(ユリーフ)などの使用が広まっているとのこと。ブチルスコポラミンに見られる尿閉などの抗コリン性副作用も無く、使用は理にかなっているようだ。(談)

中浜 力氏
Nakahama Chikara
中浜医院(大阪市旭区)院長。1979年川崎医科大学医学部卒業。同大学呼吸器内科助手、検査診断学講師などを経て、92年から現職。日本感染症学会指導医、日本呼吸器学会「成人市中肺炎ガイドライン」委員などを務める傍ら、NPO法人薬剤感受性サーベランス研究会、NPO法人医療情報交流支援の会などを立ち上げ、プライマリケア医の立場から積極的に情報発信を行う。

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