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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A)フロリードのゲルとクリームの違い
日経DI2014年11月号

2014/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年11月号 No.205

出題と解答:笠原 英城
(日本医科大学武蔵小杉病院薬剤部)

A1

(2)できない

A1

(1)口腔内にできるだけ長く含んだ後で飲み込む

 チューブに入った医薬品は、軟膏やクリームのように皮膚に塗布する外用薬が大半だが、フロリードゲル経口用2%(一般名ミコナゾール、写真1)は、チューブに入った内用薬という珍しい剤形である。このため外用薬と間違えられる恐れがあり、注意が必要となる。

写真1

 フロリードゲルはゲル剤である性質上、口腔内の滞留性が高いのが特徴である。同薬を口腔内に塗布すると、有効濃度が持続的に維持されることが、臨床試験で確認されている。経口投与後、血中からミコナゾールはほとんど検出されないことから、口腔内に滞留したミコナゾールが、直接的に抗真菌作用を発揮していると考えられる1)

 一方、フロリードには外用薬(フロリードDクリーム1%、写真2)もある。フロリードゲル経口用2%と同じくチューブ剤で、見かけ上も大差ない。だが、クリーム剤はゲル剤とは異なり、口腔内での十分な滞留性は期待できない。そのため、経口投与では十分な抗真菌作用は得られないと考えられる。また、当然ながらクリーム剤を経口投与した場合の臨床試験は行われていないので、有効性・安全性についてのデータもない。

写真2

 そのほか、フロリードのゲル剤とクリーム剤とでは、添加物が異なる点にも注意が必要である。クリーム剤に含まれている添加物のうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、一般には毒性および刺激性がない物質と見なされているが、高濃度(>20%)で使用すると刺激性が大きくなることもある。動物を用いた毒性研究では、他の界面活性剤と類似した経口毒性があることが分かっている2)

 また、同じく軽質流動パラフィンは、大量および慢性的に経口摂取すると有害である。流動パラフィン、または流動パラフィンを含む製品は、慢性使用すると脂溶性ビタミンの吸収を妨げる。また、小児が経口的あるいは鼻内に使用すると肺炎を起こす可能性があるとされ、経口摂取は推奨されない2)

 以上のことから、フロリードのクリーム剤を経口投与することは、安全性、有効性いずれの面からも避けるべきである。Mさんには、自宅に残っているクリーム剤をゲル剤の代替として使用しないよう指導しなければならない。

 なお、フロリードゲル経口用2%を口腔カンジダ症に使用する際は、必要量を口腔内に塗布し、舌で口の中に塗り広げる。その状態でできるだけ長く口の中に含み、その後飲み込むようにする。いったん口の中に入れた薬剤を、後で吐き出す必要はなく、使用後にうがいなどで口をすすぐ必要もないと考えられる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Mさんはこれまでリンパ腫の治療を受けておられましたので、免疫が低下した状態にあります。そのため、お口の中に普段からいるカンジダ菌というカビの一種が増え過ぎてしまい、痛みが出てきたと思われます。

 今回処方されたお薬は、その菌を殺菌してくれるお薬です。柔らかいゼリー状になっていて、お口の中に長くとどまる性質があります。お口の中に塗った後、舌で満遍なく広げ、しばらく含んだ後、飲み込んでいただいてかまいません。

 ご自宅に同じ成分のクリームがあるとのことですが、クリームにはお口の中に長くとどまる性質がありませんので、今回のお薬の代わりとしては使えません。また、飲み込んだ場合の安全性も確認されていませんので、クリームは口の中に塗らないようにしてください。

参考文献
1)基礎と臨床 1993;27:195-201.
2)日本医薬品添加剤協会訳編『改訂 医薬品添加物ハンドブック』(薬事日報社、2007)

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