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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)併用薬により処方量が変わる抗てんかん薬
日経DI2014年11月

2014/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年11月号 No.205

出題と解答 :今泉真知子
(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(1)フェニトイン(商品名アレビアチン、ヒダントール他)

(2)フェノバルビタール(フェノバール他)

(3)プリミドン

A1

(3)4倍

 てんかん発作は主に抗てんかん薬によってコントロールされる。今回、Tくんに処方が追加されたラモトリギン(商品名ラミクタール)は、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない患者に追加投与される抗てんかん薬として2008年に発売された。14年8月には成人に対する単剤投与が承認されている。

 ラモトリギンは電位依存性ナトリウムチャネルを阻害することで神経細胞膜を安定化させ、シナプス前細胞から興奮性神経伝達物質(グルタミン酸など)が遊離するのを抑制すると考えられている。

 代謝経路は、主にグルクロン酸転移酵素(UGT1A4など)によるグルクロン酸抱合を受け尿中に排泄される。そのため、グルクロン酸抱合に影響を与える薬剤との併用には注意が必要である。抗てんかん薬では、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール他)やカルバマゼピン(テグレトール他)、フェノバルビタール(フェノバール他)、プリミドンなどがグルクロン酸抱合を誘導することが知られており、併用によってラモトリギンの血中濃度が低下することが判明している。

 フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドンとそれぞれ併用した臨床試験では、単剤投与時と比較して、ラモトリギンの消失半減期(CL/dF)は約倍に、血中濃度半減期(T1/2)は約半分になるという報告がある。このため、ラモトリギンでは、併用薬別に投与開始時の初回用量や漸増方法、維持量が細かく定められている(表)。

表 ラモトリギンを小児のてんかん治療に用いる際の用法・用量(ラミクタールの添付文書より)

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 今回、医師がTくんの母親に「ラミクタールは多めの量から始める」と話したのは、テグレトールとの併用を考えていたためだと推測できる。バルプロ酸ナトリウム(セレニカ、デパケン他)を併用する場合のラモトリギンの用量は1~2週目に0.15mg/kg/日であるが、バルプロ酸を併用せず、ラモトリギンのグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用する場合のラモトリギンの用量は同0.6mg/kg/日で、用量には4倍の違いがある。

 なお、ラモトリギンは他の抗てんかん薬に比べて薬疹が出やすい。開始用量や増量速度が承認された用量・用法を超えていたり、バルプロ酸との併用などがリスク要因になることが知られているが、投与開始時、増量直後でも発現するため、服薬指導では注意を促したい。

こんな服薬指導を

イラスト:YAB

 今回処方されたラミクタールというお薬は、テグレトールと同じ抗てんかん薬です。テグレトールと一緒に飲むと、ラミクタールが通常よりも早く処理されて体の外に出てしまうため、十分な効果を上げるためには量を増やす必要があるのです。増やす量は試験の結果から計算して決められていますので、減らして飲むのはおやめください。

 また、2週間後にはさらに量を増やすことが決められていますので、念のためにお伝えしておきます。もし飲んでいて皮膚が赤くなったりぶつぶつができたら、すぐにお知らせください。

参考文献
1)臨床精神薬理 2007;10:2271-85.
2)日本神経学会「てんかん治療ガイドライン2010」

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