DI Onlineのロゴ画像

DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A)ノルバスクをアダラートCRに変えた理由
日経DI2014年11月号

2014/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年11月号 No.205

出題と解答:山本 雄一郎
(アップル薬局[熊本市中央区])

A1

(2)アダラートCR錠20mg(一般名ニフェジピン)の血中濃度は二峰性で12時間後にもピークがあるから。

 血圧には日内変動があり、起床時は交感神経の作用が亢進して血圧が上昇する。脳卒中や心筋梗塞などの心血管イベントは、早朝に発症するケースが多いことが知られており、早朝高血圧の中でも一過性に急激に血圧が上昇する現象である「モーニングサージ」が、そのトリガーの一つとして注目されている。

 早朝高血圧の中には、夜間も血圧が低下しないケースもあるため、早朝高血圧とモーニングサージは、厳密には異なる意味を持つ。ただ、早朝血圧は家庭血圧で測定されることが多く、24時間血圧測定が一般的ではない現状では、早朝高血圧全般に対応していく必要がある。

 さて、今回のケースを整理してみると、早朝高血圧を呈するKさんに対し、医師は、朝食後服用のアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のカンデサルタンシレキセチル(商品名ブロプレス他)を継続したまま、就寝前服用のカルシウム(Ca)拮抗薬のアムロジピンベシル酸塩(アムロジン、ノルバスク他)をニフェジピンのCR錠(アダラートCR他)に変更している。これに対してKさんは、「強い薬になるのか。日中の血圧が下がり過ぎないか」と心配している。

 この疑問に答えるのに、一つの臨床試験が参考になる。ARBを朝食後、アムロジピン錠5mgまたはニフェジピンCR錠20mgを就寝前に投与した場合の早朝高血圧(起床後1時間以内)の抑制効果を調べたTIMING Study IIである1)。同研究では、ニフェジピンCR錠はアムロジピンに比べ、早朝の収縮期血圧を有意に低下させた(P<0.05、拡張期は有意差なし)。一方、就寝時の血圧に関しては、アムロジピンはニフェジピンCR錠に比べて有意な低下効果を示している(収縮期P<0.01、拡張期P<0.001)。

 ニフェジピンCR錠は、有核2層構造となっており、上部消化管では有効成分がゆっくりと放出され、下部消化管では内核錠から速やかに溶出する。その結果、ニフェジピンの血中薬物濃度は二峰性を示し、投与約3時間後に最高血中濃度(Tmax)を示した後、12時間後にもなだらかなピークを示す。TIMING Study IIにおいて、ニフェジピンCR錠が早朝血圧を低下させたのは、就寝前(22時前後)に服用すると、降圧効果の2回目のピークが早朝血圧の上昇時に一致するためと推察されている。

 なお、日中の外来診察時血圧に関しては、アムロジピン錠5mgとニフェジピンCR錠20mgの降圧効果には大きな差はなく、Kさんが心配している日中の過度な降圧はさほど心配ないと思われる。また、アムロジピンの単回投与時の血中濃度半減期(T1/2)は約33~39時間と非常に長く、継続投与によって定常状態に達した後は、血中濃度の変化はわずかとなる。TIMING Study IIにおいて、就寝前血圧はアムロジピン投与群の方が低値を示したのは、そのためと考えられる。

 もっとも、早朝血圧を低く保ったり、24時間にわたって安定した血圧コントロールを維持したりすることの有効性、つまり心血管イベント発生率の減少効果の違いについては、明らかになっていない部分も多い。今後の研究に期待したい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 今回、新しく処方されたアダラートCR錠というお薬は、胃と腸でゆっくり溶けて効くように作られています。このため、これまで服用していたノルバスク錠に比べて、夜に服用することで朝の血圧を効果的に下げることが研究で示されています。血圧を下げる効果自体はほぼ同じで、日中の血圧が下がり過ぎる可能性は少ないのでご安心ください。

 ただ、今後も家庭血圧の測定は継続していただき、もし普段より血圧が低い日が続いたり、立ちくらみを感じることがあったら、私どもか先生にご相談ください。こちらのアダラートCR錠というお薬は、半分に割ったりかみ砕いたりすると効き方が変わってしまいますので、そのような飲み方は避けてください。

参考文献
1)血圧2008;15:1089-94.

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ